激変する自動車産業

「Connected(コネクティッド)」、「Autonomous(自動化)」、「Shared(シェア)」、「Electric(電動化)」の波が同時に押し寄せ、「100年に一度の大変革」に直面する自動車産業。

今回は、業界の最近の注目トピックスをとりあげます。

 

◯躍進する中国勢

近年、中国メーカーがEVを中心に台頭しており、昨年の自動車輸出台数は、日本を抜いて世界一となることが確実になりました。

中国市場ではEVシフトが急速に進んでおり、電動化の遅れや現地メーカーの台頭などで、日本勢は苦戦を強いられています。

昨年10月、三菱自動車は中国市場からの撤退を発表しました。

 

◯BYD、テスラ超え

中国勢の中で特に注目を集めるのは、EVやPEV(プラグインハイブリッド車)を手掛けるBYDです。

23年の年間販売台数は初めて300万台を超え、10〜12月期のEV販売台数は米テスラを上回り首位となりました。

BYDの魅力は価格の低さでしょう。

昨秋、日本に導入されたコンパクトEV「BYD DOLPHIN」の値段は363万円からとなっており、国の補助金65万円を使えば200万円代で購入できる計算です。「日産リーフ」(約408万円〜)や「テスラ Model Y」(約574万円〜)など他のEVに比べると、大幅に割安となっています。

日本市場への進出も強化しており、昨年、東京ビッグサイトで開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)」に初出展したほか、春には日本に導入する車両としては3種目となる「BYD SEAL」の発売が予定されています。

「BYD SEAL」(JMS2023にて筆者撮影)

 

◯ホンダ、新型EV公開

今月上旬、ホンダは米ラスベガスで開催されている家電・ITの見本市「CES2024」で、新EVブランド「Honda 0シリーズ」を発表しました。

26年より北米市場を皮切りにグローバル展開する予定で、2台のコンセプトカーも同時に公開しました。

40年までに四輪車のEV・FCEV(燃料電池車)販売比率を100%にするという野心的な目標に向け、EVシフトを加速させた形になります。EVの普及には依然として課題もあり、足元では失速も懸念されています。しかし、長期的には今後も電動化が継続すると判断したものと考えられます。

 

Honda 0シリーズには、「Hondaのクルマづくりの出発点に立ち返り、ゼロから全く新しいEVを創造していく」という決意が込められています。

業界を取り巻く環境が激変する中、日本メーカーには成功体験にとらわれず、イノベーションを起こし続けることが求められています。

 

関連記事:

〈特集〉JMS 2023 未来のモビリティを考える(3)環境編

参考記事:

1月12日付 読売新聞朝刊2面(総合)「中国車輸出 日本抜く 23年491万台 初「世界一」EV勢い」

1月11日付 読売新聞朝刊10面(経済)「クルマ新世 ホンダ新EV「ゼロ」」

1月4日付 日本経済新聞朝刊9面(ビジネス)「BYD、初のテスラ超え EV世界販売トップ」

2023年10月25日付 読売新聞朝刊(東京)8面(経済)「三菱自動車 中国の生産 撤退を発表」

参考資料:

三菱総合研究所「MRIマンスリーレビュー 2018年8月号」

BYD|ホームページ

GAZOO「注目が集まる「CASE」「MaaS」って何? それぞれどう違うの?」

HONDA「新グローバルEV「Honda 0シリーズ」をCES2024で世界初公開」

HONDA|「Honda 0シリーズ」特設サイト

TESLA|ホームページ