君たちはどう生きるか… 物語に問われ、吉報に問われて

7日、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が第81回ゴールデン・グローブ賞のアニメ映画賞を受賞しました。2007年に新設されたアニメ映画賞では、日本作品初の快挙だといいます。

ゴールデン・グローブ賞は映画やドラマが対象で、米国ではアカデミー賞に次いで著名な賞です。22年に「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞を受賞したのが記憶に新しいところです。本年はアニメ映画賞に「すずめの戸締まり」、作曲賞に「君たちはどう生きるか」の久石譲さんもノミネートしていましたが、こちらは受賞にはいたりませんでした。

「君たちはどう生きるか」は、宮崎駿監督が10年ぶりに製作した長編アニメーション映画です。物語は、主人公の少年が言葉を話すアオサギと出会い、異世界で旅をします。吉野源三郎の同名の小説が題名の由来になっていますが、映画はオリジナルストーリーだといいます。この現代の情報社会の中で、宣伝を積極的にしない手法も話題になりました。また、菅田将暉さんや木村拓哉さんら、豪華な声優陣も注目されました。

=スタジオジブリ公式サイトで公開中の場面写真(同サイトから)

私はスタジオジブリ作品が好きなので、この作品を映画館で見ました。独特の世界観に引き込まれるファンタジー作品です。ストーリーは純文学のように古風で不思議な魅力がありました。ゴールデン・グローブ賞は大衆的な賞だともいわれるそうなので、「君たちはどう生きるか」の受賞の決め手が何だったのか気になります。

「The boy and the heron(少年とサギ)」という英文タイトルで23年12月に公開されたこの作品は、北米公開後の最初の週末にジブリ作品として過去最高の収入額を記録しました。2月末ごろに開催されるアカデミー賞での受賞も期待されています。鈴木敏夫プロデューサーは、年明けから地震や事故などが続く中で「受賞という明るいニュースで少しでも皆さまに笑顔になってもらえたら幸いです」というコメントを発表しました。いまは直接の支援は難しい状況ですが、優れた作品から、うれしいニュースから、人は必ず励まされます。クリエイターの皆さんには、そんな作品の力を信じて頑張ってほしいです。

参考記事:

9日付 日本経済新聞朝刊(12版)22面「宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」ゴールデン・グローブ賞」

スタジオジブリ公式サイト