先月筆者は20歳になり、日本年金機構から『国民年金加入のお知らせ』が届きました。国民年金―自分にとって縁遠い存在だったため、いくら払わないといけないのか、そもそも絶対に加入しないといけないのかと色々調べました。
国民年金の保険料は月額16,520円。正直高いと思いました。将来のために、そして今の高齢者世代を支えるためにこんなにも支払う必要があるのでしょうか。
国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入の義務があります。国民年金にも3つの年金があります。代表的なのが、65歳以降生涯受け取ることができる「老齢基礎年金」。筆者と同じようにこれだけだと思っていた人もいるのではないでしょうか。
実は、若くても万が一病気や怪我で障害が残った時に受け取ることができる「障害基礎年金」、家族が亡くなった時、子のある配偶者、または子が受け取ることができる「遺族基礎年金」もあるのです。「もしも」の時の備えが国民年金の役割でもあるのです。
厚生労働省が今年6月26日に発表した2022年度の国民年金保険料の納付率は76,1%でした。国民の4分の3が納付している計算です。低所得者や学生などで保険料の支払いを全額免除・猶予されている人もいます。また、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った自営業者などを対象に、保険料の支払いを全部または一部免除・猶予する特例が2020年5月に導入されました。
注意すべき点は受け取る年金額を増やすには、保険料免除や納付猶予になった期間の保険料を後から納める必要があることです。つまり、結局は支払わなければなりません。もし、支払わなければ将来の年金額が少なくなってしまいます。
少子高齢化が進み、将来の年金額が減っていくことが問題視されています。保険料を払う若い人は少子化で減っていき、受け取る高齢者は増えていっています。そこで、2004年に年金制度の改正が行われました。それまで支出(年金)を先に決めて、それに応じて収入(保険料)を決めていましたが、年金納付者の負担が増えたため、収入(保険料)を基準にしてそれに合わせて年金額を調整することになりました。政府による2019年の推計によると、30年後には2割程度も水準が下がるだろうと言われています。
また、国民年金の納付については所得の高低に問わず定額である問題もあります。収入に占める負担が大きくなる低所得者は保険料を支払えず、無年金者になりかねないのです。低所得者に対しては、追納を免除するような支援制度を設ける、高所得者の負担を増やす、といった対処を早急に行う必要があると筆者は考えます。
世代間の支え合いに加えて、万が一に備えた保険としての役割もある国民年金。今後、対象の国民の負担が過度にならないための取り組みを考えていく必要があります。
参考記事:
・朝日新聞デジタル、10月27日付、「(いちからわかる!)106万円と130万円の壁、どう違うの?」
・読売新聞オンライン、6月26日付、「国民年金の納付率76・1%、11年連続で上昇…免除・猶予は6万人減の606万人」
・日本経済新聞、2021年10月20日付、「学生の我が子が20歳に 国民年金保険料、お得な納付は」
・NHK、2022年11月17日付、「1からわかる!年金制度(2)年金額は将来 減っていくの?」
参考文献:
・日本年金機構、4月1日、「知っておきたい年金のはなし」
・日本年金機構、4月1日、「年金Q&A(国民年金の保険料)」
・日本年金機構、4月1日、「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
・厚生労働省、2011年9月13日、「現在の公的年金制度の課題と改革の方向性について」