都内はきらびやかなイルミネーションが街を彩り、クリスマスシーズンで沸き立っています。一方で、時の流れの速さを感じ、もう年の瀬になったのか、と感慨にふける人もいるのではないでしょうか。かく言う筆者もその1人です。12月は「師走」というように、色々なことに追われて忙しいとされます。年末が近づけば尚更忙しくなってきます。
我が家の祖父母や両親が毎年バタバタするのが年賀はがきの作成です。面倒になる前にと母が準備を進めているのですが、毎年時間に追われることになっています。
先日の新聞各社の紙面では、15日から年賀はがきの受け付けが始まったことが紹介されていました。元日に届けるには、25日までに投函することが望まれるそうです。また、24年の年賀はがき発行枚数は、前年よりも2億枚少ない14億4千万枚とのことで、13年連続での減少が強調されていました。04年は、44億5000万枚だったといい、20年で3分の1まで減った計算です。激しい年賀はがき離れが生じていることがわかります。
筆者が最後に出したのは、中学生の頃です。高校生になり、携帯を持つようになるとLINEのあいさつで終わりにしてしまいます。SNSの普及が、年賀はがきの急減の要因であることは間違いないでしょう。また祖父や祖母に話を聞くと、昔はさまざまな名簿があり、これを使って出していたそうです。筆者が小学生の時までは、名簿があったのはうっすらと覚えていますが、中学生以降は完全になくなったようです。相手の住所などの個人情報の取り扱いが厳しくなった今、名簿文化が廃れていき、その結果として直接本人に住所を聞くことが必要になりました。そこまで面倒をかけて送る必要もないと考えるひとが多くなったのも一因かもしれません。
近年では、LINEと日本郵政グループが「スマートねんが」というサービスを提供しています。320円で、15種類のデザインパックと100種の無料スタンプを使える基本プランなど様々な選択肢があります。LINEなどSNSでの簡単な一言でも思いは十分伝わりますが、目新しい変わった形で伝えてみるのもいいかもしれません。また、この取り組みで筆者が魅力だと思ったのが、LINE上だけでなく紙の年賀はがきとして投函できる機能もあるというところです。年賀状の風習が廃れていくなか、「スマートねんが」などのデジタル化を進めることは、伝統文化をなくしていくことに繋がるのではと思っていました。しかし、作成データを紙のはがきにして投函できるのは文化の継承では意味があるようです。
気になることはもう一つあります。18日に、はがきと封書の料金の来秋の引き上げを総務省が検討していることが報じられました。この値上げは、年賀はがきだけでなく、本来のはがきを使う人をも減らしていってしまいさらに郵便離れを加速させていってしまうのではないでしょうか。
【参考記事】
15日付 朝日新聞夕刊 (4版) 12面(社会・総合) 「年賀状の受け付け始まる」
16日付 読売新聞朝刊 (13版) 6面(経済) 「年賀状『伝統文化』アピール」
19日付日経新聞朝刊 (12版)5面(経済・政策) 「赤字・郵便 窮余の値上げ」
19日付読売新聞朝刊 1面 「封書110円、はがき85円に」 関連記事7面
【参考資料】