ロシア最高裁 LGBT活動を「過激派」認定

ロシア・モスクワの警察が1日、複数のゲイクラブを家宅捜索したと、地元メディアが報じました。今後、ロシア国内における性的マイノリティコミュニティへの抑圧が一層強まりそうです。

ロシア国内では、同性婚が認められていないどころかLGBTに対する当局の圧力が強まっています。2013年、未成年者に対する「非伝統的な性的関係に関する流布」を禁止する法律が承認されました。20年に改正された憲法では「結婚は男女の結びつき」と記され、婚姻が男女間のものを意味することを明確に。22年には、LGBTに関する情報について、ネットや書籍などで拡散することなどを禁じる法改正を行いました。規制の対象はすべての年齢層に拡大され、書籍や映画、広告、テレビ番組からはLGBTへの言及が削除されています。

そして今年11月30日、ロシア法務省の申し立てを受けてロシア最高裁判所は「国際的なLGBT市民運動」と呼ばれるものを過激組織と断定し、国内における活動を禁止するとの決定を下しました。審理は非公開で、具体的にどんな行為が禁止されるかも明らかになっていません。活動への参加や資金提供などが対象となる恐れがあります。

 

最高裁の決定に対する各団体の反応はどうでしょうか。

■ロシア正教

同性婚を認めていないことから、「社会による道徳的な自己防衛だ」と述べて賞賛しました。

■ロシア法務省

ロシアでのLGBTに関する活動について「扇動を含む過激主義的な傾向の様々な兆候が確認された」と根拠を示さないまま指摘しました。

■国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル

「恥ずべきことでばかげている」とのコメントを発表。差別につながる恐れがある、と警告しました。

■フォルカー・テュルク国連高等人権弁務官事務所

ロイター通信によると、決定の撤回を求めました。

 

ロシア国内からは賛同の声が、国際社会から批判の声が上がっています。ロシア国内では、性的マイノリティを守る運動の排除にとどまらず、中絶を規制する動きも広がっています。来年3月に迫る大統領選をにらみ、プーチン政権がロシア社会を伝統的価値や反欧米に誘導しています。保守化が加速する同国の動向が気になります。

筆者は、同性婚訴訟やLGBT活動に関する記事を何本か投稿し、活動の支援もしてきました。それは、すべての人が幸福を求める権利を得ることができないのはおかしい、と思っているからです。国や文化が違うため安易に同一視することはできませんが、幸福の追求権の確立という理念が世界中で叶うようになってほしい、と思っています。日本国内だけでなく、他国における性的マイノリティの権利状況にも目を向けていきたいものです。

 

参考記事:

・12月6日付 日経新聞 ロシア、保守化加速 LGBT保護や中絶を規制 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

・12月2日付 朝日新聞 朝刊11頁 「LGBT活動、『過激派』認定 ロシア最高裁、国内活動禁じる」

・12月1日付 読売新聞オンライン ロシア最高裁、LGBTQの運動を「過激派」認定し禁止に…ロシア正教は判決を賞賛 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

・11月30日付 読売新聞オンライン ロシア法務省、LGBT運動を「過激派」に認定…国内活動の禁止を最高裁に申し立て : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

・11月26日付 朝日新聞 朝刊7頁 「ロシア議員『女性は産みたいと思うべきだ』」

 

・12月3日付 BBC NEWS JAPAN モスクワ警察、ゲイ・クラブを家宅捜索か LGBT活動の「過激派」認定翌日 (msn.com)