「名前の付かない障害」を尊重するために

「聞き取り困難症」小中高生1% 聞こえているのに理解できない 国内初調査(12月4日朝日新聞朝刊)

4日付の朝刊に気になる記事を見つけました。聴力検査では異常がないのに、聞き取れない、聞き間違いが多いなどの症状を示す「聞き取り困難症(LiD)」の子どもが一定数いるというのです。国内初の大規模疫学調査によって、子どもの約1%が症状を抱えていること、症状が重いほど発達障害のスコアも高い傾向が見られることなどが初めて明らかになりました。

聞き取れないこと、聞き間違いは、誰しも身に覚えがあるものです。こうした一般的な体験と似通った側面のある障害は、単なる「過失」と誤認されやすく、そのため「個々の努力によって解決できるもの」と思われがちです。だからこそ、今回の調査によってLiDが広く周知されると共に、診断書などで公的に証明できるようになることは、似た症状を抱える人にとって助けになることでしょう。

 

しかし現代には、以前のLiDのような名前のつかない障害を抱えた人が、まだまだたくさんいると思われます。その中には、病院に行ってもその障害の存在が認められず、努力不足の烙印を押されている人もいるはずです。

筆者の友人もその一人だったのかもしれません。彼にはかなりの偏食があり、中学時代はいつも何かしら給食を残していました。食べ物の好き嫌いはわがままだと思っていた当時の筆者は、そんな彼をいつも叱り、責めていました。彼が言い訳を口にするたびに、「じゃあ医者から診断書貰って来いよ」と言い、それが正しいとずっと思っていました。しばしば彼は給食の時間が終わった後も食事と向き合い続けていましたが、完食できることはありませんでした。しかし、付き合いが長くなるにつれ、本当に食べられないことがわかり、筆者は好き嫌いを許容できるようになりました。おかげで今でも彼とは仲良くできています。

好き嫌いの話は少し飛躍しているかもしれませんが、この件で筆者は、自分の常識を相手に押し付けることが間違っていると、身をもって知りました。LiDのような一見障害には見えない症状に関しても、なぜそれができないのかを追求し反省を迫るのではなく、補聴器をつけたり、話を短くしたりするなどといった工夫を、その人ベースで考えることが重要だと思いました。

LiDはようやく診断基準が作成され始めたようですが、現時点では診断できる医療機関は全国に20カ所しかなく、診断書をもらうのは簡単ではありません。だからこそ、今ある障害の存在を知ることと共に、「人のできないことをそのまま受け止め、解決策を一緒に考えること」がより大切になってくるのではないでしょうか。

 

参考紙面:

・4日付 「聞き取り困難症」小中高生1% 聞こえているのに理解できない 国内初調査:朝日新聞デジタル (asahi.com)

・4日付 「聞き取り困難症」親も気づきにくく 叱り悩む日々、娘の一言に…:朝日新聞デジタル (asahi.com)