そうだ、九州、行こう。

29日から大型連休が始まりましたね。筆者が暮らしている京都市に「京都鉄道博物館」がオープンしました。家族連れや鉄道ファンなど、たくさんの人々が訪れ、初日の来館者は1万4300人にも上りました。近隣に位置する京都水族館は、博物館の訪問客に立ち寄ってもらおうと記念品を配布したり、両館の入場券をセットした前売り券の販売を準備したりと、相乗効果に期待しています。

また、神社や寺では、普段は非公開になっている文化財の特別公開も始まりました。鉄道博物館とはまた違った層の観光客が各地の寺社を訪れることでしょう。観光都市の魅力をより高めようとする京都の戦略は、順調な滑り出しとなっています。

 

しかし、京都での成功を知れば知るほど気になるのが九州のことです。29日、大分県中部で震度5強の地震が発生しました。度重なる地震の影響で、九州各地で観光客の宿泊取り消しが相次いでいます。これまでのキャンセル数は約42万人にもなり、被災した熊本県や大分県はもちろん、ほとんど被害を受けていない県でも、海外観光客を中心に九州離れが広がっているといいます。

本来ならばたくさんの観光客が訪れていたはずの大型連休。地元の観光業は大きな痛手を負うことになりました。もしもこのまま観光客が離れてしまったならば、その損害はさらに大きくなり、様々な悪影響が出てきます。復興のためにはお金が必要ですし、雇用を安定させることは不可欠です。2004年の新潟中越地震後、観光客の減少で業績が悪化したための解雇が相次ぎ、地域の雇用情勢は悪化しました。同じ悲劇を繰り返さないためにも、観光業がこれ以上縮小しないようにしなければなりません。

 

義援金やボランティア以外にも、私たちにできることがここにあります。九州、とくに熊本や大分に足を運ぶことです。すぐに向かうことはできなくとも、夏休み、秋の大型連休でもよいのです。

今年3月、筆者は旅行で別府温泉を訪れています。湯煙がよく似合う穏やかな町で、人々はみな親しみやすく、道案内や混浴での注意など、様々なことを親切に教えてくれました。温泉だけでなく、地元の方の温かみにも心を癒やされました。あの町に観光客がほとんどいない光景を想像すると胸が痛みます。夏にはもう一度あの地を訪れようかと考えています。

京都で鉄道博物館を楽しみ、文化財を眺めるのもお奨めですが、皆さん是非、九州に行きませんか。

 

30日付 読売新聞朝刊 14刷 26面 社会面 「GW初日 震度5強」

同日付 朝日新聞朝刊 14刷 1面 「文化財見て」

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