学園祭が終わり、4年後期も後半戦に入ったことを実感する日々。授業は少なくなり、毎日起床するとダラダラとスマホをいじってしまう…。大学入学当初のやる気に満ち溢れていた頃からは想像もつかなかい怠惰が、もはや「日常」となりかけています。
寝起きでYouTubeのショート動画を見ていると、映画の予告編が流れてきました。こんな映画あったんだ面白そうだなあと、動画からチャンネル概要へと遡っていくと、「SAMANSA」というショートフィルム専門のサブスクに行きつきました。
◇ショートフィルムも悪くない
無料お試し期間を使って筆者もどんなもんかと入ってみました。コメディ、ホラー、SF,ドキュメンタリーなどなど、多種多様なジャンルが揃っており、時間が短いから表現できないというものはないんだなあと感じました。
まず筆者は予告編で興味をそそられた「ザシークレットナンバー」という作品を観ました。3と4の間に「ブリーム」という整数があると主張し、精神疾患を疑われる数学者と彼を担当する精神科医の話です。時間は15分。
短くても、起承転結はしっかりとあります。長編映画には作中でじっくりと伏線をはり、最後に回収できる良さがあるなら、30分にも満たない映画には、短いからこその余韻や読者に解釈を委ねるような奥行きがあると感じます。
また、ショートフィルムに注目することは、若手制作者の育成にも繋がるのではないでしょうか。尺が長いものに比べて、短ければその分、予算は低く済みます。また、そのような自主製作の映像では、YouTubeなどが公開の場の1つとしてあります。Eテレ「びじゅチューン!」で、歌の作詞作曲、アニメーション制作をしている井上涼さんが大学生時代に制作した作品も投稿されています。また2022年7月には「エヴァンゲリオン」で知られる庵野秀明監督が学生時代の1980年代に発表したウルトラマンの二次創作2作品が、時を超えて新宿バルト9で公開されるなどしています。実際に、先述した作品の説明書きには、大学生が制作したということが書かれていました。
このように、商業映画へとステップアップする前に自主制作で映像作品を作っていたという例は多いでしょう。そのため、短い映像作品に焦点を当てたプラットフォームには、サブスク加入者の取り込みだけではなく、文化発展の観点からもメリットがあるのではないかと思いました。
◇タイパも悪くない
今までは映画館に行くにしても、レンタルビデオ屋さんに行くにしても、1本ごとに料金を支払うため「ハズレ」を引きたくないという気持ちがありました。ですが、Netflixなどが普及し、うんと映画を観ることへのハードルが下がったように思えます。それでも、短編に限って言えば、少なくとも日本での関心はまだそこまで高くありません。
「タイパ」という言葉は、現代社会は生き急いでいる、もっとゆっくりと生きようなどという風刺的なメッセージを込めた文脈で使われることが多いような気がします。ですが、この時代の流れで新たなものに気付けるのなら、もしかしたらタイパを追求することも悪くないのかもしれません。
参考資料:
映画ナタリー、「庵野秀明の自主制作版「ウルトラマン」2作品を一夜限りで上映」
YouTube、「赤ずきんと健康」