Z世代の語学学習法はすごいぞ

先日からオンライン英会話を始めました。夜遅くに授業を受けて「フィリピン人の方と話してきたよ」と報告すると、父はびっくりして「時代は変わったんだなぁ」とポツリ。父の言う通り、時間を問わず授業を受けられて、簡単に海外の人とつながれるのは、よく考えるとすごいことです。学び方はずいぶん変わったんだと思います。

10月31日付の日経では、生成AI(人工知能)を使った英会話練習が取り上げられています。たとえば米国発アプリ「スピーク」や日本のオンライン英会話「DMM英会話」では、AIを相手にロールプレーができます。また、録音することで自分の発音を判定してくれる機能のあるアプリもあります。変なことを言うのではないか、待たせて申し訳ないなどと緊張することなく、いつでもどこでも「話せる」のは大変便利です。

インターネットがない時代は、言語を学ぶことは本当に難しかったことでしょう。私はドイツの考古学者シュリーマンの逸話を読むのが好きです。彼はトロイ遺跡を発掘したということで有名ですが、18カ国語を話せたという言い伝えもあります。彼の自伝には、言語の学び方について以下のような記述があります。

「できるだけ早く会話をものにするために、日曜日には英国教会の礼拝にいつも二回はかよって、説教を傾聴し、その一語一語を低く口まねした。どのような使い走りにも、雨が降ってももちろん、一冊の本を手に持って、それから何かを暗記した。何も読まずに郵便局で待っていたことはなかった」(『古代への情熱』岩波文庫)

シュリーマンは、文法の勉強に重点を置くことなく、ひたすら作文や音読をすることで言語を身につけたそうです。彼はやや自己演出の強い部分があり、逸話は正しくないともいわれていますが、本当に実践していたとしたら賞賛するべきことです。

日本人は小学生の頃からずっと英語を勉強しています。それなのに読むことはできても話すことは苦手です。現代は学び方にバリエーションがあり、さまざまな媒体で誰もが簡単に他言語に触れられる時代になっています。今後の学び方の変化が楽しみです。

参考記事:10月31日付 日本経済新聞朝刊(11版)14面「英会話学びたい 生成AIが相棒」