ブラック校則 本当に無意味なの?

小学校6年生の春、中学校で開かれた事前説明会に参加した母親の資料に書かれていた校則に驚きました。

頭髪:清潔感のある中学生らしい髪型。パーマ、染色・脱色および整髪料の使用は禁止する。女子で長い髪(肩にかかる程度以上)の場合は、黒・紺・茶色のゴムひもで結ぶ。また、前髪は目にかからないようにする。女子の触覚ヘアは禁止。

触覚ヘアってなんだろうね、母親と話した記憶があります。どうやら前髪の横を長くする髪型のことを指しているということが分かりました。当時は知りませんでしたが、小顔効果があると今も女子に人気です。私は髪型にこだわるようなことはなかったため、さほど厳しいルールとは思いませんでしたが、なぜこの髪型だけ禁止なのかは疑問でした。

中学入学後、やはりこの校則は同級生のなかでも、かなり話題になっていました。「なんで触覚ヘアだけだめなのかがわからない」と。その後、耳の上でひとつ結びにする、いわゆるサイドポニーテールも禁止だということが発覚。クラスメートのなかには、そんなの関係ないと校則を破る人も少なくありませんでした。なんで、そこまでして髪型の制限をしたがるんだろう。そう思うばかりでした。

私と同じ疑問を持った人は他にもいたようでした。中学2年生の頃、生徒会が中心となって開かれる生徒総会がありました。全校生徒と全教員が参加し、生徒が疑問に思うことについて声を上げられる、1年間で1度しかない機会。そこで一人の女子生徒が手を挙げ、質問しました。

「なぜ、女子生徒の触覚ヘアは禁止なのですか?」

これに救われた女子生徒は多くいたはずです。私もこの質問への答えにとても期待していました。しかし、その回答は予想に反したものでした。生徒指導の先生はこう言ったのです。

「禁止と書いてあるものは禁止です」

答えになってないじゃん。率直な思いでした。せっかく勇気を出して質問した生徒がどことなく可哀想に思えました。私たちのことを見下しているように感じてしまいました。真摯に生徒に向かい合ってほしかったなと思います。納得できなかった生徒たちは「触覚ヘアは生徒指導の先生が嫌いだから」という根も葉もない噂を信じ、その先生に対して嫌悪感を抱きながらも、この校則を受け入れざるを得ませんでした。

 

高校でも校則は存在します。中学校ほど議論にはなりませんでしたが、一部で疑問視されていた規定はありました。「スマホは持ち込み可だが、原則校内での使用は禁止」というものです。しかし、今となってはスマホの使用を禁止する校則の狙いが分かる気がします。

大学生になった今、スマホ禁止と言われることはほとんどありません。スマホに夢中になってしまうがゆえに、友人との会話が上手くいかないこともあります。ご飯を食べる時も、歩く時も何をするにもスマホが手から離せないときがあり、依存していると言っても過言ではありません。

翻って、高校生活を振り返るとスマホに気を取られて、何かができないといったことはほとんどなかったように思います。視力が悪くなることもなかったし、生活リズムも安定していて、寝つけないような夜は、ほとんどありませんでした。スマホがなくても、友人とたくさん話せました。勉強のわからないところは、インターネットで調べなくても、友人同士で話し合って解決するか、先生に質問しに行って納得するまで教えてもらう。人同士の触れ合いが今の大学生活よりも多かったように思います。

目の前の学校生活を存分に楽しんでほしい。実際に先生に聞いたわけではありませんが、スマホ使用禁止の校則にはそんな願いが込められていたのかなと思います。中学校の先生は生徒の質問に答えられませんでしたが、きっと校則を定めた理由があったのだと思います。触覚が原因で事故があったのか、真相は分かりませんが。

自分たちが嫌だから、この校則は悪い。

そう決めつけるのは、どことなく違うように思います。本当に理不尽な校則が一部に存在することも事実ですが、きっと大半は生徒が嫌だと思っているだけのことではないでしょうか。本当の意味での校則への理解をもっと深めていくべきだと思います。