「カミ パン SOS 水 コクフ」
16日未明の地震で避難所となっている熊本国府高校(熊本市中央区)の校庭に、SOSが表れました。避難者らが180脚のパイプ椅子を並べ、救援物資を求めるメッセージを作ったのです。
紙面に載った写真に動かされ、これまでのテーマと重なることを覚悟して被災地への援助を私も考えることにしました。
14日から熊本県を中心に続く地震。避難者の数は16日未明に起こった本震を機に8倍以上に増え、約11万人に上ります。水、食料、毛布――。各地の避難所で命にかかわる物資が不足し、悲痛な声が聞こえます。その中でも余震は容赦なく続きます。要因には道路の寸断や交通網の混雑に加え、行政の混乱や人手不足の問題も関わっていることが明らかになりました。
政府は17日、被災者生活支援チームを立ち上げました。90万食を無料配布、70万食を小売店に輸送し、宿泊用にホテルやフェリーを確保しました。また被災地以外の自治体から職員を派遣します。さらに米軍機による物資輸送では、米軍の新型輸送機オスプレイによる支援を受け入れることも決めました。
しかし、山積みになった物資も肝心の避難所には届いていないという現実があります。どの避難所でどれくらいの支援物資が不足しているかという正確な情報もありません。
新潟中越地震や東日本大震災の教訓を生かし、余震の心配が少ない近隣の市町に拠点をつくり、救援物資を仕分けをするという対応策は確立しつつあります。今回は民間企業を活かした輸送が行われたものの、そのシステムも万全には機能しませんでした。過去の教訓を生かし切れていない現状が見受けられます。地震大国日本から防災大国日本へ。災害時に備えた物流システムの構築が急がれるべきです。
私たちが今できること何でしょうか。まずは地震報道をきちんと理解することだと思います。被災者といっても一括りにはできません。一人一人が震災を経験して、何を思い、感じたのか。これから何が必要なのか。記事や映像を通して日々伝えられる被災者の言葉からくみ取る必要があると思います。
物資を送るのはどうでしょうか。東日本大震災では、送られた物資が早急に避難者の手元に届かず、それを処分するのに逆にお金がかかってしまうことや、必要な物資が随時変わってしまうこともありました。現在、ほとんどの宅配事業者が救援物資の受け入れを見合わせています。筆者は今朝、決して大きな額ではありませんが緊急支援の募金を行いました。正直、何もできないもどかしさを感じていますし、自分に何ができるのかと模索し続けています。そのなかで、ささやかでも義援金を送ることが、私たちが身近にでき、かつ混乱を招かない最善の支援の方法ではないかと考えました。
救援物資を訴えるグラウンドのパイプ椅子は、「やれることは何でもしよう」という生徒からのという提案で、避難している方々が協力して作ったものです。この気持ち、被災地外にいる私たちにも必要でしょう。一人一人が被災地の現状を知り、何ができるかを考え、力を合わせてアクションを起こしていくことが求められます。
参考記事:18日付 各紙朝刊 熊本大地震関連記事