高校野球 リクエスト制度は必要?不必要?

連日のスポーツ面の話題の渦中にある全国高校野球選手権大会。本日の紙面でも朝日、読売、日経の3紙とも大きく扱っていました。

21日付朝日新聞・読売新聞のスポーツ面

選手権大会は各都道府県で勝ち抜いた代表49校が、兵庫県にある阪神甲子園球場に集い全国の頂点を決める大会です。東京都と北海道は地区が2つに分割されているため、出場は49校になります。1924年に第一回が開催されてから今年で105回目を迎えました。

全国大会自体は春にも開催されていますが、こちらは選抜方式で出場校が決定するため、すべての高校に出場権があるわけではありません。そのため夏に思いをかける球児が多いのでしょう。

本日21日は、6日の第一回戦から勝ち残ったベスト4による準決勝日。あと2勝で全国制覇ということもあり、テレビ越しでも伝わるほど、どちらの試合も白熱していました。そんな中でTwitterでは、高校野球に関するある話題が物議をかもしていました。

2023年8月21日Twitterのトレンドより

とあるシーンでの審判の判定が誤審なのではないか?という議論です。

高校野球はプロ野球と異なりプレーに対するリクエスト制度がありません。そのため、審判の判断がたとええ間違っていたとしても、ビデオ判定を申し立てることはできません。

Twitter上では「リクエストやVAR(ビデオアシスタントレフェリー)導入するべきなのではないか?」といったコメントを多くみました。たしかにプロ野球でリプレ―検証「リクエスト」が導入された初年度の判定変更の割合は32.8%。誤っていた判定がこれほどあることが示されています。しかし、簡単に導入できるのでしょうか。

VARやリクエスト制度を導入する場合に一番の鬼門となるのが「導入費用」です。リクエストをするためには、リプレ―をするための映像機器の整備が必要になります。大きな費用がかかることは避けられません。

また審判との関係の悪化も想定されます。そもそもの話にはなりますが、高校野球の審判は、プロ野球と異なり、基本的にボランティア活動です。30度を悠々に超える灼熱の中、長時間に渡り審判をするのは、お金ではなく甲子園に出場する球児を支えたいという思いからなのでしょう。リクエスト制度が導入されると、監督と審判の主張が激突するケースも考えられます。ボランティアで加わってきた審判はやりきれない思いに駆られるのではないでしょうか。

一方で、当然のことではありますが、導入は誤審を減らし、「正確な判定」という観点では大きな利点が生ずるでしょう。試合はプレーや判定ひとつで流れが大きく変わることが多々あります。全国大会という一生に一度の大きな舞台で球児が試合により集中する環境を整えるのは必要なことでしょう。

副作用はあるものの、クラウドファンディングなど何かしら形でお金を募り、制度を整えることは必要ではないかと、一ファンとして考えてしまいます。

 

参考記事:

21日付朝日新聞13面「あと2勝歴史に名を刻む」

読売新聞オンライン2023年8月21日「21日、全国高校野球準決勝」

朝日新聞クロスサーチ2019年10月9月「『リクエスト』件数が18%増 プロ野球」