バウンダリー 他者を尊重するということ

先日、勤務先の居酒屋で、女性アルバイトが男性客に肩を組まれて、写真撮影に応じていたのを目撃しました。彼女が笑顔で対応していたので、それを止めるようなことはしませんでした。しかし、その立場を自分に置き換えたときに、すぐにそのことを後悔しました。以前自分がセクハラを受けたとき、ものすごく不快だったにもかかわらず、突然のことで身体が動かなかったのです。相手を逆なでしてしまうかもしれないと、私はずっと笑顔で決して「NO」を発しませんでした。彼女も「肩を強くホールドされて逃げることができなかった」と言っていました。笑顔は必ずしも「OK」のサインではないのです。

その人の許可なしに身体に触れるという行為は、バウンダリーを超えて他者の権利を侵害することになります。バウンダリーとは、自分と他者との境界線のことです。自分の身体と他者との境界が踏みにじられるようなことは、決してあってはなりません。「自分のことは自分で決める」というのは、誰にも認められる基本的な権利だからです。韓国の著名女性DJの「DJ SODA」さんが大阪府でのイベントで観客からセクハラを受けたと訴えました。出頭した男性2人は「酒を飲んで軽い気持ちでやってしまった」と話している一方、「わいせつ行為などのつもりはなかった」という趣旨の説明もしているといいます。SODAさんは笑顔でやり過ごしていたかもしれません。しかし、きっと深く傷ついていたはずです。

バウンダリーはそれぞれ人によって異なります。だからこそ、相手の境界に侵入しないように、慎重に接して関係を築いていかなければなりません。許可なく触れられたり、じろじろ見られたり、身体的特徴について言及されたりすると、不快に感じることがあるのは、自分のバウンダリーを超えられたように感じるからです。

自分と他者との境界を意識することは、他者を尊重するだけでなく、自分自身を守ることにもつながります。自分の身体をどうするのか。自分が何を身にまとうのか。自分のことは自分で決められるような社会を築く第一歩にもなるでしょう。

参考記事:

21日付 韓国のDJ SODAさん性被害、男性2人が出頭 大阪府警が捜査 – 日本経済新聞 (nikkei.com)