位置情報 共有できますか?

先日、大学の後輩と遊びに出かけていた時のことです。喫茶店で休憩していると、後輩のスマホに電話がかかってきました。相手は後輩の同級生で、共通の知り合い。筆者が電話に出ると、いきなり私たちが今いる店の名前を言い当てました。驚いている私に後輩が窓の外を指差します。その指の先では、電話越しに話している相手が手を振っていたのでした。

実は、一緒にいた後輩がSNSのアプリで位置情報をその友人と共有していたのです。「BeReal(ビーリアル)」という何気ない日常を共有することが特徴のSNSで、利用者は一日に一回、ランダムな時間に届く通知に合わせて自分の写真を投稿する仕組みです。

 

試しにと記事執筆中の筆者が撮ってみたBeReal

このように、写真は内カメと外カメ両方同時に撮れるほか、通知から2分以内に投稿しなければならない縛りがあるため、飾らない素の自分を送ることになるのです。さらに写真を投稿する際に位置情報を公開するかを選べるようになっているそうで、公開している友人であれば、先ほどのように、かなり正確な位置まで知ることができます。位置情報を共有するSNSの存在自体は、以前サービス終了したことで話題になったアプリ「Zenly(ゼンリー)」の影響もあって知っていましたが、それすら使ったことのなかった私には新鮮な体験でした。

BeRealを面白く、便利なSNSだと思う一方、ちょっとしたひっかかりも覚えます。例えば、BeRealでは写真や位置情報を公開するかどうか選ぶことができますが、アプリを入れている時点で、「公開しないこと」をわざわざ選ばないとなりません。本来であれば当然のことなのに、なにかやましいことをしている印象を持ちます。

位置情報を共有することに対する世間の反応はどのようなものなのでしょうか。

株式会社エアトリが20代以上の360名を対象にした調査によると、位置情報共有アプリの認知度は約8割と高い一方で、使ったことがある人はそのうちの3割ほどにとどまっています。また、比較的抵抗が少ないと思われる10代の若者を対象とした別の調査でも、使ったことのある人は4割ほどにとどまっていました。若い世代を中心に普及はしつつあるものの、フェイスブックやインスタグラムのような社会インフラとしてのSNSには当分なりそうもありません。

私は普段、SNSへの投稿をほとんどしません。それは、自分の行動を公開するよりも、実際に会った時に直接話した方が、驚きがあって盛り上がると思っているからです。BeRealや位置情報共有アプリなど、どんな形でも繋がることがSNS時代のトレンドですが、自分のこだわりや価値観を元に、繋がりすぎないことを大事にしていこうと思います。

 

参考記事:

あえて「盛らない」若者たち – 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

参考資料:

10代の約7割が「位置情報を共有」 – アプリ起動のタイミングって? | マイナビニュース (mynavi.jp)

「位置情報共有アプリ」を知っている人は約8割いるものの実際に使ったことがある人は3割未満! 家族の見守り、旅行中や携帯紛失時の捜索に活躍もトラブル懸念も!? | NEWSCAST