突然ですが、自分のお財布を思い浮かべてみてください。思い浮かべて欲しいのは、ポイントカードの枚数です。筆者は比較的カードを持ちたがらない方だと思うのですが、それでも気を抜くと財布がカードまみれになっている時があります。私と同じ境遇の方もいるのではないでしょうか。そんな私たちに朗報となるか。イオンが「WAON(ワオン)ポイント」を他社に開放するというニュースが入ってきました。このWAONポイントは、イオンの電子マネーで決裁したときに貯まるポイントで、買い物の際に値引きを受けられたり、ポイントを買い物で使うこともできます。
では、今回イオンが行ったWAONポイントの開放は、どのような効果を生むのでしょうか。まず挙げられるのは、WAONカードがこれまで以上に様々な店舗や施設で使えるようになるということです。様々な場所でポイントが付くとなると、利用者数の増加が見込め、結果的にイオングループの顧客獲得に繋がります。また、「利用者がどのようなものを購入しているか」や、「どのような場所に訪れているか」などを、利用者の年齢、性別に紐づけて分析するビッグデータ解析が可能になります。これにより、商品開発や消費者ニーズにマッチした販売戦略をグループ側が立てることができます。これは企業目線での効果ですが、消費者目線からはどのようなことが言えるでしょうか。
私は、冒頭で触れた溢れんばかりのポイントカード問題に、終止符が打たれる気がするのです。今回のWAONポイントを例に挙げれば、スーパーやコンビニのほか、日本航空、電力会社、外食店など幅広い業種の加盟店を開拓するようです。すなわち、ポイントの共用化が進めば、それだけ持つカードは少なくて済むと考えられないでしょうか。今後、他グループもこの流れに追随するようなこととなれば、さらにお財布がすっきりすることになるかもしれません。
ただし、ここで確認しておきたいのは、消費者がこのようなカードを安心して使うことができるのは、企業側の盤石な情報管理が前提だということです。利用者が増えれば、それだけ手に入れる情報が多くなります。その反面、それだけの量の情報を持つというリスクと責任も改めて企業側は感じているでしょう。企業をある程度信頼してこそ、消費者の購買意欲も増していくのではないでしょうか。
さてここまで読んだ方のなかには、ふとすると企業側の販売戦略に乗せられてしまうのでは、と思う方もいらっしゃると思います。しかしあえて筆者は、それに乗ってみるのもありなのではと考えています。気に行ったグループが、自分のニーズに合った商品を提供してくれて、それを喜んで買う。自らロイヤルカスタマーになる手も、一理あるかもしれませんよ。
参考記事:9日付日本経済新聞朝刊(13版)1面「イオンが共通ポイント」