祭りだ、祭りだ

「ド、ドドドー」と大きく轟音を響かせながら坂を落ちる御柱に男たちが乗っては振り落とされる。一見、奇妙な光景です。また、最後まで柱の上に乗った男は名実ともに英雄とされます。だからこそ人々の熱気は凄まじい。今日付けの読売新聞1面に写真が掲載されているので是非、見ていただきたいです。

御柱祭は日本三大奇祭の一つで、数えで7年に1度、6年ごとに開かれる諏訪大社の御柱祭。これは勇壮で危険なお祭りです。山から長さ18メートル、直径1メートルあまり、重さは10トンを超える木を合計16本切り出して、長野県にある諏訪大社の上社と下社に人力で運んでいくのです。最大の難所は昨日今日と行われる柱が坂を下る「木落とし」。そして川を渡る「川越し」です。

氏子の男たちを乗せたまま斜度27度、長さ20メートルの坂を一気に滑り降りる姿には圧巻です。祭りの最中は諏訪の街全体がハイテンションに染まります。柱を運ぶ時に、自宅の壁や屋根を傷つけられることも珍しくありません。気にしない人が多かったり、修繕積立金をしている人もいます。

長野県に住んでいる祖父に会いに行くと、テレビの前に座らされて過去に録画した御柱祭の中継映像を何回も見させられます。背中を丸めて夢中で見ている祖父を思い浮かべながら「なぜここまで惹かれるのか」と考えました。2つあげられます。再発見と非日常感です。

私たちの暮らしやその風景は目まぐるしく変わります。その一方で変わらないで脈々と受け継がれるお祭り。地域の絆や調和を感じ、日本人の原点や原風景を再発見するのでしょう。また、祭りが生み出す日常と違う特別さ、非日常感を楽しむからです。日々の暮らしの意味を実感します。たしかに毎日がお祭りだったらつまらない。年に一回、何年かに一回ある行事だからこそ盛り上がるのです。

最近では、日本の祭が目当ての外国人観光客も増えています。日本人も外国人も祭にかける熱い姿をこの目で一度は見て下さい。そしてこの非日常感を楽しむ人の暮らしや、足元にねむる日本文化も同時に感じ取って欲しいです。

 

参考記事:4日付 読売新聞 (東京14版)1面 「木落し 急坂一気」