日本と中国の大学受験から学歴主義について考える

2023年6月7、8日、受験競争率の高い全国統一大学入試「高考(カオカオ)」が中国全土で実施されました。毎年、受験者の両親が応援に駆けつけている姿がテレビで放送され、熱気で溢れていると感じます。朝日新聞デジタルによると、今年の受験者数は去年より約100万人多い過去最高の1291万人だったそうです。

この記事を読んだとき、祖父に聞かれたことを思い出しました。「彼氏はどこの大学の人なの?」。何気ない質問に思われますが、学歴を気にしているのでしょう。中国は就職難で多くの学生が死ぬもの狂いで高学歴を目指していますが、日本でも同じなのだと筆者は思います。学歴主義の世の中を変えようと社会は動きつつありますが、今もなお良い大学を出て良い企業に就職することを目指す人の方が多いのではないでしょうか。学歴主義の世の中を変えようとしている企業もありますが、それはまだごく僅かだと思います。さらに大企業よりも中小企業に学歴主義を変えようとする意欲が見受けられます。

今回は日中の大学受験について考えてみました。

日本の受験は皆さんご存知でしょうから、中国の仕組みについて説明します。一般的な大学(本科大学)は4年制または5年制で、9月〜1月、2月〜7月の2学期制です。教育部直轄の国立大学と、中央政府の教育部以外に属する国立大学、地方政府管轄の公立大学、私立がありますが、9割は国公立です。

それらに入るために実施されるのが高考で、国語・数学・外国語が必修、さらに選択科目を受験します。この結果で大学の合否はほぼ決まってしまいます。日本の大学入学共通テストのような位置づけですが、別に独自入試を実施している大学が多い日本に比べて、中国ではあまり導入されていません。日本以上に学歴を重視し進学する風土で、高考により人生が決まってしまうわけです。

日本でも多くの学生が偏差値の高い有名校を目指し、そうした大学の競争率はとても高くなります。私も自分の受験期を思い出してみました。中学1年生の頃から行きたい大学が決まっていてそこを目指して勉強をしていました。しかし、複数の受験先を考えておかないといけないことから、他の大学も調べ始めました。その時の調べ方に、意識の根底にある学歴主義が顔をのぞかせていたのかもしれません。偏差値で調べてみたり、「メディア 有名 大学」と検索をかけてみたり、偏差値や知名度を常に意識していました。私の家系では学歴を気にしている人が多く、自分もそうだったのでしょう。大学生になった今、どこへ行くのかではなくそこで何をしたかが大事であるのだと身に染みて感じています。良い大学に入れても、そこで時間を無駄にしてしまえばお先真っ暗ですから。

学歴主義の世の中が学生を苦しめています。高校や大学での成績も大切かもしれませんが、自分のしたいことに挑戦する行動力の方が重要でしょう。学校に行くことで学べることは多いですが、実践することの方が得るものは大きいでしょう。最近は調べたいことがあったら現地に行くなど行動に移すように心がけています。G7サミットが地元で開催され興味を抱いたので広島まで取材旅行に出向きました。後で「こうすればよかった」と後悔することもありますが、それも学びであるし得るものが多いことを実感しています。出席数や成績を意識して机に向かっているよりも鮮明な記憶として残ります。こうした行動力が企業に評価してもらえる世の中になれば、学生の日々の行動範囲も大きくなっていくのではないかと思います。

 

人生に1度、死にもの狂いで受験勉強するのもいい思い出だとは思いますが、違った形での評価を考えていく世の中にしていくべきではないでしょうか。中国の高考が考えさせることは少なくありません。

 

参考文献

・CNN、「中国の統一大学入試、受験生は過去最多の1300万人近く」、2023年6月7日、

https://news.yahoo.co.jp/articles/0ffa3417f690a7270cc391d4175d7a312bd7d8bd

 

・朝日新聞デジタル、「中国の大学受験、熱々 最多1291万人 就職難、コロナ禍も拍車」、2023年6月8日、斉藤徳彦、

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15656869.html?iref=pc_ss_date_article