就活生が語る WEBテストの実態

チョコが好きな人はガムも好き。グミが嫌いな人はガムも嫌い。という2つの命題が言える。 この時正しく言える選択肢は何個あるか?

1.チョコが好きな人はグミも好き。
2.ガムが嫌いな人はチョコが好き。
3.ガムが好きな人はグミが嫌い。
4.グミが嫌いな人はチョコも嫌い。
5.グミが好きな人はガムも好き。

(一般常識一問一答.com TG-WEB・従来型・論理式(対偶と三段論法)基礎トレーニング問題 (jyosiki.com) より)

 

正解は1と4です。皆さん正解できたでしょうか。主に就職活動で用いられるWEBテスト「TG-WEB」の問題の一つです。ちなみに、この手の問題は「チョコが好きな人(A)はガムも好き(B)」であれば、「ガムが嫌い(非B)ならチョコも嫌い(非A)」が成立するという、数学で学ぶ「対偶」を考えることによって解くことができます。何ともややこしい問題ですが、じっくりと論理立てて考えれば分かるはずです。それを知らなかった筆者は、最初は解けませんでした。

現在就職活動中ですが、つきものなのがこのような課題です。ほとんどの企業が何らかのWEBテストを実施しており、実質的な絞り込みに使われているため、皆必死で対策を講じています。筆者もSPIという代表的なテストの参考書を買い、少しずつ対策を進めていました。

ですが、最近になってこのテストにも色々な種類があることを知りました。種類によって問題のジャンルや出題傾向も異なるのですが、「解き方さえ知っていれば比較的簡単に解けるが、初見だと難しい」という点は共通しています。例えば、冒頭で紹介した「TG-WEB」の問題は、問題数が少ない分だけ難易度が高いことが特徴なのですが、「対偶を書き出してみる」といった解き方を押さえていればさほど難しくはありません。

つまり、そのタイプの課題を解いたことがあるかどうかで難易度が大きく変わるため、就活生はいちいちそれに応じた対策をしなければならないのです。仕方なくわざわざ専用の参考書をもう一冊買いに行きました。また勉強しなければならないのかと辟易したうえ、「玉手箱」や「GAB」など他のタイプの専門参考書も並ぶ棚を見ると、金銭的な負担も小さくありません。

「WEBテストなんて多少勉強していれば落ちないよ」と何人かに言われたことがありますが、やはり志望企業の選考には万全を期して望みたいものです。それに、面接で落とされるならいざ知らず、実務には影響しないような知恵試しで落とされれば、なおさら悔いが残るでしょう。また、昨年末にはSNSを通じてWEBテストの受験を請け負っていた男が逮捕され話題になりましたが、同じ就活生として、頼りたくなる気持ちは痛いほどわかります。行きたい企業であればあるほど、確実に受かる方法があるならばそれに縋ってしまうと思うからです。

もう一つ、就活生を苦しめているのが試験の不透明性です。多くの場合、テストの点数や結果は通知されないうえ、企業によってはエントリーシート(ES)と同時にWEBテストを課すので、どちらが原因で落ちたのかがわからないこともあります。とくに、パーソナリティを測る性格検査は企業との相性を測るという名目で利用されますが、どの分野がどんな理由で不適と見なされるのかもわかりません。また、最近増え始めているAI監視型のテストも、「どの行動、要素が不正と見られるのか」が明確でなく、カンニングと誤解されるのを恐れ、おちおち計算をすることも出来ませんでした。

 

自宅でAI監視型テストを受けた時の写真。 「背景が無地であること」という条件にカーテンが違反しないか恐れ、 念の為に背景に布を貼った。

公平な受験環境を作る必要性は分かりますが、企業に対しては、それに振り回される就活生の気持ちにも寄り添ってほしいと思います。不正を防ぐことと同じくらい、テストの透明性を保つことも重要ではないでしょうか。例えば、事前に合格点が設定されれば、何割取ればいいとある程度安心することも出来ます。また、高得点を取ったことが通知され、そのスコアを再利用できるなら、何度もテストを受けずに済みます。

何人かで協力してテストを解くような振る舞いが良いとは決して思いませんが、就活生の立場に立てば、それを悪いことだと一方的に糾弾する気にはなれません。企業側にも事情があるのでしょうが、自分の人間性や魅力を志望先に直接アピールできるESや面接対策にこそ時間をかけたい私たちの気持ちをもう少し理解してもらいたいものです。

 

参考紙面:

就活webテスト、「替え玉」どう防ぐ 検知へAI導入も – 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

参考資料:

TG-WEB(従来型,難しいタイプ)対策問題まとめ (jyosiki.com)