入管法改正に反対の声 市民から

2年前に廃案になり、政府が今国会で成立を目指す入管難民法改正案に反対する市民が23日、各地で集会やデモを行いました。名古屋・栄には約80人が集まり、筆者もデモ行進に参加しました。祝日で人通りがあったこともあり、「何だろう」とたくさんの視線を浴びました。ただ、ビラを受け取ったり、立ち止まって耳を傾けたりすることはなかなかありません。しかし、なかには足を止めてスマホのカメラを向ける若者たちもいたのです。プラカードを目にして飛び入り参加した高校生もいました。先頭を切って歩いたり、マイクを手に訴えたりしていたのは、私たち大学生でした。同じ若い世代にメッセージが届いたこと、共通の目標のもと様々な人が集ったことをとても印象深く感じました。

デモに対してネガティブなイメージを抱く人は、少なくありません。しかし、社会を構成する市民としてはっきりと声をあげ、意思を表明することは、重要なことなのです。シティズンシップを行使することになるからです。「個人的なことは政治的なこと」という言葉があります。個人の視点が社会問題に結びつくことは、往々にして起こり得ます。

出入国管理局や刑務所で暴力が起きている。これは私たちには全く関係のないことなのでしょうか。国の公的機関で人権侵害が行われているという事実は、日本で生きる私たちこそ明確に認識しなければなりません。その暴力の矛先がいつか自分自身に向くかもしれません。しかし、課題を認識し、声をあげ、政治に反映させることが歯止めになるでしょう。

外国人労働者や難民は、一人ひとりのストーリーがあり、置かれる状況も様々です。にもかかわらず、入管法改正によって退去を強制したり、監視を強化したりすることを目指しているのです。3回目の難民申請以降は強制送還が可能になるといった難民条約に反する条項も盛り込まれています。また、入管が認めた「監理人」のみが支援者として受容されることとなれば、これまでの外国人支援活動は大きく制約されます。入管法改正案はすでに自民党の部会で了承され、政府は来月上旬にも国会に再提出する方針です。

今求められるのは、出入国管理局と外国人の仲立ちとなるような第三の独立した監理組織だと考えます。全国の入管施設で2007年以降に死亡した外国人は18にも上ります。これ以上命がなくなるのを防ぐためにも、現体制を見直すべきでしょう。

大学生である私ができることは限られています。しかし、黙って見過ごすことはできません。今できることを着実に進めていきたいと思います。

 

参考記事:

24日付 朝日新聞朝刊(名古屋13版) 23面(社会)