情報が多すぎる、情報が多すぎる、情報が多すぎる

新聞を読んでいてふと思いました。「新聞にはいったいどれほどの文字数があるのか」。たとえば朝刊。ニュースの大小や各紙にもよりますが、だいたい20万字といわれています。新書2冊分に相当するそうです。新書を毎日2冊も読めません。それでも、新聞に目を通すことならできます。新聞を読むことがどれほど勉強になるのか、具体的な数字とともに再確認することができました。

しかし裏を返せば、それだけ情報が溢れているということです。加えて、ニュースを見る手段は新聞に限りません。テレビやネットも含めれば、とんでもない量になります。情報過多の時代に有効的な情報の接し方とは何なのか。きょうはその「解」を探します。

朝日新聞のワッペン企画「私たちも投票します(第2部)」。18歳選挙権スタートを前に、AKB48のメンバー3人とジャーナリストの津田大介さんが「投票・選挙」について語り合っています。第2回目のテーマは「メディアリテラシー」です。

両方の考え方に触れる。一面的な見方に陥るのでなく、いろんな考え方に触れることで視野が広がります。

津田さんは原発を例に挙げます。原発を必要だと考える人と、不要だと考える人。両者の考えに触れることが、情報を読み解く力「メディアリテラシー」を身に付ける最善の道だ、と─。有効的な情報の接し方とは、時間を掛けることに尽きます。媒体を見比べ、整理し、判断する。情報の多い時代だからこそ、それだけ時間を使う必要はあるでしょう。

では、視点を変えてみましょう。

情報が多い世の中といっても、「手にとって見られるたったひとつのもの」は、そう多くはない。そこに隠れた本質を見出してくれるのは個々の読者なのだ。

作家の絲山秋子さんは今年1月から、十軒の書店で「公開書簡フェア」を始めました。書店員と絲山さんとの手紙を書店で公開するというものです。「本づくりのプロセスを可視化したい」。何気ない書店員の一言がきっかけでした。新連載や自身の著書について、あるいは「女性性」や「不在とは何か」といったコアな話題までやり取りしています。

フェアを経た絲山さんの感想が先述の引用文です。手にとって見られるたったひとつのもの、隠れた本質を見つけるのは読者なのです。記者でもなく、著者でもない。書いたものを読む人が、問題や内容の主軸の本質を見つける─。金言だと思いました。

情報の接し方に悩んでいる方。何が本当で、何が嘘なのか。疑心暗鬼になっている方。情報過多の時代には、そのように苦悩するのが当然です。有効的な情報の接し方の「解」は2つ。まず、媒体を見比べる。そして、何が本質なのかを見極めるのは、自分だということを再認識する。見出しや誇張に惑わされることなく、冷静になって考えていきましょう。

 

参考記事:

28日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)2面「私たちも投票します」(第2部)

同日付 読売新聞朝刊(同版)文化面「HONライン倶楽部」