同性婚 ともに生きる社会へ

「見るのも嫌だ」

荒井勝喜首相秘書官は、3日夜に性的少数者や同性婚をめぐって差別発言を行いました。岸田首相は、その前日2日に同性婚法制化について「極めて慎重に検討すべき課題だ」と述べています。その上で「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だからこそ、社会全体の雰囲気にしっかり思いをめぐらせたうえで判断することが大事だ」と強調しました。

 

朝日新聞社が18、19両日に電話で実施した全国世論調査で、同性婚を法律で認めるべきか尋ねたところ、「認めるべきだ」は72%にのぼり、2021年から7ポイント増加したのです。同性カップルへの理解は社会的に醸成されており、現在では250以上の自治体が同性パートナーシップを公証する制度を持ちます。

パートナーとともに生きる権利は、誰もが持っています。パートナーとともに生きること。パートナーと結婚すること。その決定権は、カップルに帰属するはずです。性自認や性的指向によって、その権利が抑圧されるようなことを許してはなりません。

現代社会において、どのように切り取るのかによって、誰もがマイノリティになり得ます。しかし、そのことによって、差別されることは決してあってはいけないと思います。パートナーシップは、その人の生き方に直結するものです。同性カップルにその権利が社会的に認められない状況では、性的少数者が個人として尊重されているとはとても言えません。ましてや、今は政治家らが差別的な発言を繰り返す状況です。政権の人権意識が疑われます。

「社会が変わってしまう」のではなく、より良い方向へ「社会を変えていかなければならない」のではないのでしょうか。誰かが社会の周縁に置き去りにされてはいないか。私たちは目を光らせなくせてはなりません。それが多様性を包摂する社会を築くための第一歩になるはずです。

参考記事:

20日付 同性婚、法律で「認めるべきだ」72% 前回から増加 朝日世論調査:朝日新聞デジタル (asahi.com)

9日付 (社説)首相とLGBT 差別解消 行動で示せ:朝日新聞デジタル (asahi.com)

8日付 朝日新聞朝刊(愛知13版) 11面(オピニオン)