「ラーゲリより愛を込めて」から平和を考える

先日「ラーゲリより愛を込めて」を鑑賞してきました。本作は、終戦後旧満州の旧日本軍兵士たちが、ソ連によってシベリア、ウクライナ、カザフスタンなどに連行され強制労働をさせられた実話「シベリア抑留」をテーマにした映画です。あまりの惨さに、見るのを背けたくなる場面もありましたが、本当に観て良かったと思います。

日本の終戦記念日は1945年8月15日。日本では、この日をもって戦争が終結したとされています。しかし、この「シベリア抑留」は終戦後の話。彼らにとっての戦争は終わっていなかったのです。言わずもがな、シベリアは極寒の地。冬の気温は零下30度~40度にもなります。そのような状況の中で、彼らは森林伐採や炭鉱の発掘、鉄道の建設など重労働を強いられました。それにも関わらず、与えられた食料は黒パン一つとわずかなスープだけ。約58万人ほどが強制連行されましたが、およそ10人に1人、約6万人が寒さや栄養失調などで命を落としました。

戦争は二度と繰り返してはならない、何度もこの言葉を耳にしてきました。戦争は何も生まないことは皆承知のはずです。しかし、なぜ繰り返してしまうのか。それは私たち人間の愚かさにあるのでしょうか。戦争が生むものの恐ろしさを知りながら、戦争を始めてしまう私たち人間の恐ろしさを感じます。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、まもなく1年が経とうとしています。第三次世界大戦はすぐそこだ、との話もあります。「戦争をなくすには」おそらくほぼ全員の学生が、この問いに向き合ったことがあると思います。この問いに答えはありません。答えがないからこそ、人間は同じ過ちを繰り返してしまうのです。

過去に起こった戦争をもっと知り、「平和」についてもう一度考え直す。安易にも思えてしまいますが、戦争をなくす解決策の基本軸はここにあると思います。私たち人間の愚かさと向き合いつつも、私たち人間の脳で「平和」についてもっと考えていかなければならないと、強く感じます。

 

参考記事: 10日付 愛知14版21面 語り継ぐ戦争 126