マイナス金利導入 文句を言っても仕方がない

今年は芸能人のトラブルが連発し、あらたにすでもその話題を中心に投稿してきました。同じ話題が繰り返されたこともあり、飽きてしまった読者の方も少なくないでしょう。筆者も飽きました。今回は身近な話題をテーマにしてみましょう。今日から導入されるマイナス金利、日本経済全体に限らず、家計への影響も懸念されています。今朝はこのマイナス金利の持つ意味を筆者なりに考えていきたいと思います。

今日16日、日本銀行はマイナス金利を初めて導入します。金融機関が日銀に開く当座預金口座の預金の一部について、「手数料」を取る仕組みです。日銀にお金を預けるよりも融資に回したほうが利益が出るため、企業への融資が活性化を活性化させる狙いがあります。金融機関がより低い金利で貸し出しや運用をすることで経済の下支えにもつながるでしょう。金融機関も早速、大きな動きを見せており、三井住友銀行は15日、一部の住宅ローン金利の引き下げを発表しました。三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も引き下げを検討しており、少なからず国民生活に影響がでることが予想されます。

マイナス金利のメリットとデメリットをまとめてみると、金融機関が貸し出しに回す額が増えるため、企業などへの融資や住宅ローン金利の引き下げなど、社会全体でお金が借りやすくなります。一方デメリットを見ると、預金などの金利の引き下げや比較的リスクの小さい投資信託などの商品の募集が停止される可能性が考えられます。現にJP投信はマイナス金利導入に伴う国債の利回り低下に伴い、国債で運用される商品の一部の募集を停止しています。一般消費者目線に立つと、住宅ローンなどの金利引き下げはもちろんメリットですが、定期預金などの金利引き下げは何の利益にもなりません。企業の側からみると、「借り入れをするのに最高の環境」(資生堂の魚谷雅彦社長)とする経営者もいる一方、現在の円高・株安の状況を受け、「金利が安くても、設備投資は限定的」と語る電機メーカー幹部のコメントも掲載されており、個人も企業もマイナス金利を一様に歓迎しているとは言えないようです。ちなみに、ただでさえ金利が下がり続ける住宅ローンを扱う銀行にとってみれば、早くこんな政策やめてくれなのでしょうか。

受け入れ方は十人十色ならぬ万人万色なマイナス金利ですが、筆者としては金利が下がること自体は、大変良いことではないかと考えています。金額の多寡はともかく、法人の活動は何をするにもお金がかかるのは当然です。大企業であれば、金額も莫大です。融資を受けやすくなれば、経済活動が活性化するのはもちろんのこと、生産が実際に増え、それに伴い売り上げも増加することで現在のように株価や為替の影響を受けても倒れにくい、本当の意味で「強い」経済を作り出すことにも貢献できます。金融機関にとってもプラスと見てもいいでしょう。金利が下がったとしても、借り手の景気が良ければ、損失どころか大きな利益にもなります。ましてや業績が株価や為替に揺れることもなく、安定していればただでさえ安定している銀行の収益もより一層安定化できるのではないでしょうか。ここはグッと我慢して貸し出しを続けるべきではないか感じています。

そうはいっても、個人にはあまりメリットがないというご意見や住宅ローンを借りていない人間にはメリットはないというご意見もあるかと思われます。筆者はそうは思いません。預金をどのように管理していくか、その選択を考えるきっかけを与えてくれたと考えています。現在の銀行の預金金利はただでさえ低いです。利益を上げるために預けているというよりも保管に近い預け方をしている中、マイナス金利が導入され、微々たる金利が今以上に少なくなるでしょう。それを避けるためにインターネット銀行に預金したり、金融商品の購入といった投資に回すなど、様々な選択肢を利用できます。マイナス金利はそのきっかけとみることもできます。

預金として手元に残す、投資をする、その両方、ハイリスクハイリターンを狙う、などなどパターンは無限大です。マイナス金利に文句を言っても仕方ありません。ルールの中での動き方を考えた方が賢明です。マイナス金利はそのような意味で、預金に対する私たち一般人の考え方を変えたのではないでしょうか。まずはお金をどうしたいのか、考えるところから始めましょう。

参考記事:16日付 各紙朝刊 マイナス金利関連面