たばこ税増税、禁煙するか否か悩む学生の声

昨今、何かとタバコがニュースに上がります。ニュージランドでは2009年以降に生まれた人は生涯にわたり、紙タバコの購入が禁じられ、タバコの販売店も現在の10分の1にするという決定がなされました。現段階での対象は13歳以下の未成年者ですが、数十年後には国民のほとんどが禁煙を迫られることなります。「『可燃性タバコ、紙巻きタバコ』修正法案」によるもので、違反すると1千万円を超える罰金が課される可能性があります。生き方が多様化している現代において、娯楽という生きる糧を減らす政策はいかがなものなのでしょうか。愛煙家の筆者としては大変残念に思います。

日本においても、喫煙者の肩身は狭まるばかりです。岸田首相が打ち出した防衛費増額の財源の一つに、たばこ税の増額が挙げられました。ただでさえ税率は高いのに、それをさらに上げる形になります。現行のたばこ税は、「地方たばこ税」「国たばこ税」、さらに旧国鉄などの負債返済を目的に作られた「たばこ特別税」の3つがあります。地方たばこ税は9837億円、国たばこ税は8398億円、たばこ特別税は1122億円の税収を生み出しています。

タバコ一箱で考えると分かりやすいでしょう。JTが販売している定価580円「メビウス」では61%にあたる357円が税金です。もはや税金を払うためにタバコを吸っているのではないかと思ってしまうような割合です。これは他の嗜好品と比べてもずば抜けて高率です。ビールであれば45%、ウイスキーなら28%です。100年前、国家の税収の大半を占めた酒税ですが、たばこ税には太刀打ちができません。もちろん、上り続けるたばこ税により喫煙者の数は減り、年ごとに若干の増減はあるものの、2011年以降たばこ税の総額は減少傾向にあります。

今回、岸田首相が打ち出したのは、タバコ一本あたり3円の増税です。先ほど例にあげた「メビウス」の場合、20本入りなので一箱60円高くなり、定価は640円に。筆者が吸い始めたときはタバコ全体が一箱500円行くかいかないかくらいだったので、値上がりの速さには驚くばかりです。メビウスの前身であるマイルドセブンは1977年の販売当初150円でした。50年間で4倍の値上がりというのは他にはあまりないでしょう。

今回の値上がりの議論を受けて、愛煙家の友人は禁煙を考え始めたそうです。2日に一箱吸っているため、値上がり後の月当たりのタバコ代は9600円になります。生活費が5万円程度しかない大学生には厳しい金額です。これまでは騙し騙しで耐えていたそうですが、もう限界なのでしょう。彼の交際相手からは常々禁煙を勧められていたそうで、これでやっとやめてくれると喜んでいました。しかし、依存性があり、なかなかやめられないのがタバコです。彼の禁煙が成功するのか否かは半々といったところでしょう。

明治大学中野キャンパスにある喫煙所

屋外のため寒くこの時期は体を震わせながら喫煙するらしい

そもそも、防衛費はなぜ5年間で43兆円必要なのか、そしてなぜたばこ税を上げる必要があり、一本あたり3円なのか。首相の明確な答えはありません。すべてが数字ありきになっているような感覚があります。喫煙者が社会的に弱い立場に陥っている現代において、たばこ税を増やしても反発は少ないという計算があるのではないかと考えてしまいます。日々の楽しみという国民生活での重要な要素に制限を加えるのですから、真摯に説明してもらいたいものです。

また、日本には4340戸ものタバコ農家の方がいます。たばこ税が上り、売り上げが減ると彼らの生活にも当然影響があります。読売新聞によると特に九州や山口・沖縄の農家戸数は急速に減少しているそうです。かつては6000戸あった農家が現在では約6分の1になっています。彼らの生活も守らなければなりません。

防衛費を上げるにしても、タバコ税を上げるにしてもまずは国民に問うのが筋でしょう。具体的な説明から逃げるのではなく、解散して選挙に踏み切り、国民の声を「聞く」必要があります。

 

 

参考記事

読売新聞オンライン「葉タバコ農家が減少、産地の九州・沖縄…耕作放棄地防ぐ対策が急務」

https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/feature/CO050392/20220218-OYTAT50011/

読売新聞オンライン「安保支出、世界3位へ…GDP2%確保で27年度11兆円」

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20221217-OYT1T50039/

読売新聞オンライン「税制改正 主なポイント」

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221216-OYT8T50132/

 

参考資料

一般社団法人 日本たばこ協会 「たばこ税」

https://www.tioj.or.jp/others/