「クラスTシャツ」反対意見から考える教室の居場所

文化祭や体育祭などの学校行事で着るため、生徒らがデザインを決めて発注する「クラスTシャツ」。本日の日経新聞夕刊では、納品遅延トラブルが相次いでいるとして、消費者庁が社名を公表し、注意喚起したことを報道しています。

「気の毒だな」そう感じながらTwitterを開くと、「クラスTシャツ」がトレンドにランクインしていました。ニュースに対する意見が飛び交っているのかと思いきや、クラスTシャツそのものに関する否定的なコメントで溢れていました。

理由としては、金銭的な問題やデザインに対する好みの問題などが挙がっていました。中でも最も多かったのは、「好きでもないクラスでお揃いを強いられることへの苦痛」です。

絵を描くことが好きで大学では美術史を専攻した筆者、高校最後の年は、文化祭のクラスTシャツをデザインする担当になりました。色を一色増やすと値段は500円ほど跳ね上がります。なるべく使用する色を減らし、他クラスよりも安く、男女が着れるデザインにしようと考えてデザインしたことを覚えています。幸いにもクラス全員が購入し、今までで1番思い出に残る文化祭を迎えることができました。しかし、当時は考えもしませんでしたが、クラスTシャツそのものを着たくない生徒もいたかもしれません。

当時のクラスTシャツ

今朝の朝日新聞・読売新聞では、不登校児童の増加について言及しています。文部科学省が27日に発表した2021年度の「問題行動・不登校調査」で、30日以上登校せず「不登校」とされた小中学生が前年度から24.9%(4万8813人)増えたことが明らかになりました。長引くコロナ禍に起因する心身の不調やストレスが影響し、いじめ件数も最多を更新したようです。

不登校の児童生徒数の推移 読売新聞朝刊より引用

不登校になってしまう理由は様々ですが、少なくとも「教室に居場所がない」ことは共通していると考えます。筆者も小学6年生の頃、クラスで仲の良い友人ができず「学校に行きたくない」と何度も思ったことがありました。日曜の夜は特に憂鬱な気分だったことを覚えています。

筆者が高校時代にクラスTシャツを着る楽しみがあったのは、居場所があったからなのでしょう。小中だけでも24万人もいる不登校児童、救いの手は、クラスメイトと周囲の大人たちにかかっています。もちろん居場所を作ってあげることは容易なことではありません。誰かに手を差し伸べようとする一人ひとりの意識改革が必要になってくるはずです。

来春、長い学生生活に終止符を打ちます。社会人になっても周囲に気を配れる人間になりたいと心から思いました。

参考記事:

本日付 朝日新聞朝刊 埼玉14版 1面 「小中の不登校最多24万人」

本日付 読売新聞朝刊 埼玉14版 1面 「不登校最多24万人」

本日付 日本経済新聞夕刊 埼玉14版 9面 「納品遅れの相談相次ぐ」