音楽に興味を持つきっかけとなったのは、パンクロックでした。友達に借りたブルーハーツのベスト「EAST WEST SIDE STORY」、一曲目は「情熱の薔薇」です。
♪永遠なのか本当か 時の流れは続くのか いつまで経っても変わらない そんなものあるだろうか
衝撃でした。心地よいイントロから堰を切ったように勢いよく、歌いだし。そのままのスピード感を保ち、3分弱で終わる。曲調と等身大の歌詞が突き刺さりました。ジャンルとか年代とかバンドの情報とか、そんな予備知識は不要でした。CDとスピーカー、あと耳。それさえあれば十分です。「情熱の薔薇」を4,5回、アルバムを2,3周聞いてからその日は寝ました。
入口はブルーハーツでしたが、その後は洋楽へも手を伸ばしました。特にUKロック。ローリング・ストーンズ、セックス・ピストルズ、クラッシュにダムド。そういったバンドを聞きたどっているうちに、デヴィッド・ボウイにも出会いました。「戦場のメリークリスマス」を既に知っていたので、てっきり俳優だと思っていました。世代ではない人間ならではのあるある。しばしば、きっかけの順番が逆になることはよくあります。
死去してから約1週間。デヴィッド・ボウイの特徴はそのルックスでした。なんせ、格好いい。独特のファッションはそのスタイルによく映えました。来日公演ではデザイナーの山本寛斎の衣装を身にまとい、歌舞伎役者の坂東玉三郎から教わったメイクアップで舞台に上がりました。曲調や歌詞に惹かれて没入したロックの世界で、ルックスに魅了されたのは、デヴィッド・ボウイが初めてでした。
一番好きな曲はやっぱり「レッツ・ダンス」です。
♪Let’s dance put on your red shoes and dance the blues~If you should fall into my arms and tremble like a flower(さあ、踊ろうよ 真っ赤な靴でさ 君を抱けるなら 花のようにおののく君を)
歌詞の一部と要約を抜粋してみました。この曲はパナマの独裁者・ノリエガ将軍を投降させる際、米軍が使用したことでも有名です。ノリエガ将軍が逃げ込んだバチカン大使館の上空を旋回する米軍のヘリから爆音で「さあ、踊ろうよ」─。何とも風刺がかっています。
音楽シーンを、ロックを、時代を彩ったデヴィッド・ボウイの名曲たち。知らなかった方にはぜひ一度、聞いてみることをお勧めします。
【参考記事】
12日付 各紙「デヴィッド・ボウイ死去」関連面
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