2日、読売新聞のお悩み相談コーナー「人生案内」に、女子大学生が投書していました。苦手な化粧をすべきか悩んでいるとのこと。彼女が参加した就活講座で、「女性の化粧はマナー」と教えられ、ショックを受けたそうです。
これに回答した女性ライターは、女子大生の気持ちに寄り添いつつも、「講師の言葉を言下に否定できないのも事実」としています。対面での仕事の場合、見た目の印象がその会社や商品のイメージと直結することがあるからだそうです。
1月のあらたにすで、大相撲初場所のボランティアへ行ったことを書きました。産学連携を重んじる母校では、事前にマニュアルが配布されます。「身だしなみの基本」事項に、「ノーメイクはNG」の文字が。普段見慣れない注意書きにギョッとしましたが、販売員の身だしなみが、お店や商品の印象や評価に繋がると言われ、化粧が「自分のため」だけでないことを学びました。
国際的なマナーやエチケットの知識と技術を認定する民間資格「マナー&プロトコール検定」の公式参考書にも、ビジネスシーンに必要な「身だしなみ」にナチュラルメイクを挙げています。相手を尊重する気持ちからの装いが社会人には不可欠とのこと。
同書には、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの研究が載っています。「異なった情報に接した時、人は何を優先して相手の感情や態度を判断するか」という実験で、話の内容より視覚や聴覚から受ける印象を優先して判断するという結論になったそうです。
「美」を「優秀」と捉える感覚は人間の抗えない本能だとどこかで聞いたことがあります。実際、ファンデーション一つで肌荒れが隠れ、アイブロウの塗り方次第で眉が整って見える、化粧で「美」に近づくのも事実です。
パブリックな場で『「ナチュラルメイク」が理想であり、「すっぴん」はNG』という教えに合点がいきます。投書にあった就活マナー講座の講師の指摘も、「印象」が大事な就活において、失敗しないための助言だったように思えてきます。
でも、疑問が生まれます。「化粧をしない女性」は「マナー違反」なのでしょうか…
化粧はしたい人がすればいいだけ。世間一般の反応に神経をすり減らす必要は全くないはずです。(2017年 あらたにす 記事引用)
「あらたにす」OGも、化粧についての論議に加わっていました。
Twitterでの論争を見ると、「女性だけ強いられるのはおかしい」「化粧品もお金がかかる」と、「化粧はマナー」とされる風潮に異論を唱える声は少なくありません。
その背景には、「高校を卒業したら化粧をすべき」との暗黙の了解が横たわっている気がしてなりません。
高校時代、校内で化粧は禁止。一部の私立を除けば、今でもほとんどの高校が当たり前のように禁じています。それがどうでしょう。大学に入ると、足並み揃えて化粧を始めます。筆者も入学直前に、親から化粧道具一式を買い与えられました。それまで化粧の機会が一切なかったため、上手な使い方を知りません。筆者は一人っ子で、誰に教えてもらう訳でもなく、Youtubeを参考に、見よう見まねで覚えていました。戸惑いを感じたのも事実です。同調圧力に反発を感じる人がいるのも理解できます。
様々な事情がありますから、ひとえに「違反」とは言えません。プライベートで「すっぴん」なのも、外野がとやかく言うことではないでしょう。
しかし、特別な事情がない限り、パブリックな場では「郷に入っては郷に従う」のが今の社会通念だと筆者は受け止めています。
様々な立場、考えの人がいます。何が正解か分かりません。これこそが「化粧はマナー」論争の難しさだと思います。長々と自分の考えを述べましたが、皆さんの考えも是非お聞きしたいです。
参考記事:
2日 読売新聞オンライン 人生案内 「大学生 苦手な化粧すべきか」