多様な中身 春巻きも人間も

昨年12月、北海道札幌市の繁華街のひとつ北24条に、銀色の壁にカラフルな広告がひと際目を引くお店がオープンしました。道内初、全国的にも珍しい春巻き専門店「HARUMAKI GALAXY」です。

5月20日付朝日新聞デジタルより

 

北24条駅を利用する人々を中心に開店前には話題になり、オープン直後から即完売が続くほどの人気ぶり。地元のテレビ局や雑誌も頻繁に取材に訪れています。

人気の秘訣は道産素材にこだわった独自ブレンドの皮と、多様な具材です。普通、思い浮かぶのは一般的な春巻きと生春巻きくらいですが「HARUMAKI GALAXY」では、なんと15種類ほどが用意されています。スタンダードから梅しそinオクラささみといったヘルシーなメニュー、味付きジンギスカンといった変わり種まで。ごま団子やりんごレアチーズなどのスイーツ版もあります。

隣にあるライブハウスでアルバイトをしていた筆者も、様々な種類から選べるワクワク感と美味しさに惹かれ、留学で札幌を離れるまでのわずか3か月間に5回は訪れました。

そんなひいきの店について、気になる記事を見つけました。5月20日付朝日新聞デジタル「サクサクの手作り春巻き、多様性包む 札幌の専門店が人気」です。記事によると、この店は介護事業所や障害者福祉サービス事業を手掛ける札幌のNPO法人「はなうた」が障害者の就労支援のために開業し、心身に障害のある人たちが厨房での下ごしらえから店頭での販売まで幅広い業務に携わっているということです。

何度も訪れているにも関わらず、筆者はこのことを知りませんでした。思い返してみると、注文と会計が端末を使ったセルフ式になっていたり、商品提供までの過程が単純化されていたりしていました。それが障害のある人が働きやすくする工夫だったのだと気付きますが、この記事を読まなければ分からないままだったでしょう。

 障害者が働く特別な店という感じにはしたくない。誰でも気軽に入れる店にしたい

記事の中で紹介されている店長の千葉琴美さんの言葉です。障害のある人が楽しく意欲をもって働ける。そんな理想がなかなか実現されない中で、「HARUMAKI GALAXY」は少しの工夫で障害のある人でも地域社会で活躍できるということを証明しているのではないかと思います。

外見が同じでも中身は一人ひとり異なる。そんな人間の多様性を受け入れてほしいという思いが込められた、中身が違っても外側からは分からない春巻き。北海道を訪れた際にはぜひ訪れて、春巻きの味を楽しみながら多様性について考えてみてください。

 

参考

5月20日付朝日新聞デジタル「サクサクの手作り春巻き、多様性包む 札幌の専門店が人気」

 

「HARUMAKI GALAXY」ホームページ

NPO法人「はなうた」ホームページ