マスク外す日くる?

留学から日本での暮らしに戻ってみてまず感じたことは、マスク生活が想像以上に辛いことでした。英国では、学校以外ではマスクをする必要がなかったので、長時間付けたり、そのまま激しく動いたりすることがありませんでした。しかし、日本では一日中ほぼずっとマスクと共に生活しなければなりません。耳にかける紐がきついのか、長時間かけていると耳が痛くなってきます。階段を上っている時や走っている時も、息苦しくてたまりません。人が近くにいない時や会話をしていない時であれば、少しの間だけマスクを外して新鮮な空気を吸ってもいいのではないかと思うのですが、誰かに見られていると思うとなかなかできません。

 

EUが機内や空港でのマスクの着用義務を解除しました。英国やフランス、北欧諸国では、もう既に公共交通機関でも解除されています。ロンドンの地下鉄駅構内でマスクをしていたら、「なんでつけてるの?もう外していいんだよ」とわざわざ友人に指摘されたことがあるくらいです。そもそも習慣がなかった国からすれば、マスクに顔を覆われていること自体が不快に感じるのでしょう。一刻も早く外したいと願うのも無理はありません。

では、日本はどうでしょうか。実は「マスクを外したくない」という人が意外と多くいます。それは、単に感染防止の観点からだけではありません。「口元のメイクをしなくて済む」「目元だけの方が綺麗に見える」などといったコロナ禍によって生まれたメリットもあるようです。日本では、コロナの感染拡大以前からファッションの一環として着けている人もいました。だてメガネがお洒落として成立しているように、「だてマスク」もアクセサリー感覚として受け入れられています。

アルバイト先や授業で会うだけの友人との間では、「一度もマスクの下の顔を見たことがない」ということも起こり得ます。すでにマスクが顔の一部になっており、今更それを外して素顔を見せるのが恥ずかしくなってしまいそうです。マスクの存在が、日本人のパーソナルスペースを保つための防御壁となっている可能性があるのかもしれません。それでも、マスク越しだと表情が読み取れなかったり、どうしても暗い印象に見えてしまったりすることもあります。筆者は接客が欠かせない職場で働いています。笑顔を心掛けているつもりでもマスク越しではうまく伝わらないことがあるので、普段以上に大きなリアクションを取らなくてはなりません。

個人的には、人の集まる場所以外での規制は緩和されたらいいなと思います。特に夏場は熱中症の危険もあります。マスクに頼りすぎるあまりに、他のことで命を落としてしまっては本末転倒です。

規制が撤廃されたとき、日本のマスク社会はどう変わっていくのでしょうか。今後が気になります。

 

13日付 朝日新聞デジタル「子どものマスク、推奨していない? 厚労省の通知の範囲は」