だまこ鍋には、粘り気のあるコメを

秋田の名物料理、だまこ鍋。きりたんぽは全国的にも有名ですが、だまこ鍋を知っている人は少ないのではないでしょうか。炊きたての米を潰し、丸めてだんごを作り、鶏がらで出汁をとった鍋に鶏肉や山菜と共に煮込むというもの。先日、大学の友人と出汁や米から手作りしました。だまこ鍋に使うコメは、やはりあきたこまち。柔らかく、粘り気があり、団子にした時に美味しくなるそうです。使うコメの銘柄によって食感や味が大きく変わることを実感しました。

そんなコメは現在、TPPの大筋合意、農協改革、減反廃止など、生産や販売環境の変化の渦中にあります。日経新聞では、粘りが強く、レンジで再加熱する弁当に向く新品種「しきゆたか」が特集されていました。しきゆたかは、収穫量が多い分、価格を抑えることができることから、輸入米の流入を見据えた農家から話題を集めています。記事では、産地では「高級米」と「低コストの多収米」との二極化が進み、戦略と選択を迫られている、と書かれていました。

たしかに、低コストの多収米は消費者ニーズに対応しているとも言えます。「安い方がいいけど、やはりコメは国産」と考える消費者も多いからです。ただ、コスト面で輸入米と戦うのは難しいのではないでしょうか。記事によると、国内の平均的な作付規模のコメの生産コストは、米国産の輸入価格のほぼ2倍です。これでは、いくらコストを抑えたとしても、輸入米に価格で勝負するのには限界があります。

それならば、やはり高級米で勝負するのはどうでしょうか。国内では少子高齢化による米の消費量の減少、「炭水化物抜きダイエット」などによる若者のコメ離れはあるものの、「少量だからこそ、高くても美味しいお米を食べたい」というニーズはあるでしょう。そのためにも、米への関心を高める取り組みが必要です。今月7日に行われた「2015年今年の一皿」に「おにぎらず」が選ばれたことは、米への再注目の点で効果的であったと考えます。また、朝日新聞の地域面では、フリーアナウンサーの原田真裕美さんが玄米の健康効果と、秋田米の新しいブランド米についての紹介をしていました。国内のニーズが健康志向であることはたしかです。このように、まずは国内でのコメへの関心を高め、少ない量だったらいいものを、と消費者にこだわりを持たせることが大切でしょう。そして、国内産地には価格ではなく、やはり品質と味で輸入米に勝ってほしいと思います。

参考にした記事

12月9日付 日本経済新聞朝刊(マーケット商品)「コメ大競争」

12月9日付 朝日新聞朝刊(第2秋田)「新米に思う」