高校生の就職活動、どのように行われているか知っていますか?

 

高校生の就職活動には独特の慣行が存在するのをご存知でしょうか。「1人1社制」です。多くの都道府県が採用しているこの制度。高校生の就職支援会社ジンジブが運営する情報メディア高卒採用Labは以下のように説明しています。

企業が自社への応募に際して単願を求め、学校側としても応募の推薦を制限し、「応募解禁日」から一定時期の間まで、一人の生徒が応募できる企業を一社とする制度

かみ砕いて説明すると、複数の企業に応募できる大学生とは異なり、高校生は1社しか認められないというのです。もし内定を得られなかったら、生徒は複数応募ができるようになっています。

なぜ大学生の就活と違って同時に複数の会社にエントリー出来ないのか。高卒採用Labは1人1社制には以下のよう利点があると述べています。

 

1.企業理解・職業理解が乏しい高校生に対し、進路指導教諭が主導して斡旋を行い、就職活動をサポートすることにより、就職内定率を高めること。 

2.学業に支障をきたさないスケジュールで、企業と学校・ハローワークが連携をとり、就職バランスも考慮しつつ、平等な就職機会を創出すること。

 

つまるところ高校側が保証した会社を受けることで、生徒は学業に支障をきたすことなく内定を得ることができるというのです。確かに自身の就職活動を思い返してみると、大学の授業はそっちのけで、インターンに参加したり、面接に行ったりしていました。学業をおろそかにしないという点でこの制度が採用されているのには納得がいきます。

しかし、良いことばかりではありません。先月の日経新聞の記事に高卒者は大卒者に比べて早期離職する傾向が強く、和歌山県は是正のため、最初の応募を1人1社に制限するルールを2021年度に撤廃したとありました。

朝日新聞の記事でも1人1社のあり方に疑問を投げかけており、ジンジブの佐々木満秀社長の「大学生は何社も見て、自分の働き先を探す。それに比べ、高校生が自分の就職にあたって得る情報が少なすぎ、ミスマッチのもとになっている」という指摘を紹介していました。

国の有識者会議は20年2月、複数社への応募を可能とすることを含め、地域ごとに検討するよう促す報告書を公表しています。しかし読売新聞の全国調査では、22年度以降に「見直す」としたのは2府県にとどまりました。早期離職のリスクはあっても、1人1社制の利点は勝ると言うことなのでしょうか。

 

読売新聞記事から引用

 

1人1社制を維持するとしたら、どうやってミスマッチをなくしていくか。国も学校も企業も知恵を絞らなくてはなりません。高校生の就職活動がどのように変わっていくのか、今後の展開が気になります。

 

参考記事:

2月4日読売新聞オンライン「【独自】高校生就活の「1人1社」、「見直す」は2府県のみ

1月19日日本経済新聞デジタル版「高卒の早期離職者、就活時に企業情報不足 民間調査

19年7月29日朝日新聞デジタル版「高校生の就活、「1人1社制」でいいの? 「ミスマッチ招く」見直し求める企業も

 

採用資料:

高卒採用Labホームページ