中学入試戦線 10年間で何が変わった?

関西では、昨日から私立中学の入試が始まりました。灘や甲陽、西大和は土日で終わり、明日は洛南高附属や東大寺学園などで試験が実施されます。受験生はこの2年間コロナ禍に振り回され続け大変だったと思いますが、実力を存分に発揮できるよう祈っています。

筆者も10年前に中学受験を経験しました。当時は都内に住んでいたので、開成中が第一志望。2月1日の朝、西日暮里駅前の陸橋を受験生がぞろぞろ歩く様子。校門前に塾の先生が並んでおり、激励を受けた場面。試験監督が外国人の先生だったこと。今でも鮮明に記憶に残っています。算国理社どの科目も手応えがあったものの、蓋を開けると不合格。その後1ヶ月間、悔し涙をずっと流し続けたことを覚えています。今でも心に強く刻まれし人生の一里塚です。

ところで、中学受験事情はこの10年間で大きく変わったようです。まず、一つ目は午後入試が増加したこと。昔は1月に埼玉や千葉の学校を数校程度受けた後、2月1日、2日、3日にそれぞれ一校ずつ、東京か神奈川の本命校を受験。うまくいかなければ、4日か5日に再挑戦するのが主流でした。しかし、近年は、多くの学校で午後入試が導入されました。受験生は昼に移動して、午後からその日2度目の試験に臨みます。小学生なのに気を抜く時間がなく、心理的に大変だろうなと思います。

二つ目は、入塾期の低学年化です。昔は4年生から中学受験の塾に通う人が多かった。5年生は少し遅いが、3年生は早すぎると認識されていました。しかし、塾講師として働く知人によると、最近は3年生からの入塾が標準化しているそうです。理由は定員超えを避けるため。大手塾では年々受講者が増加しており、校舎によっては座席不足のため高学年の入塾を拒否することがあります。まず塾に入れなければ受験のスタートラインには立てません。それゆえ、多くの保護者は枠に空きがある早めの段階で入塾させるのです。早期に学習習慣を身につけられる点では良いかもしれませんが。

三つ目は、入試科目に英語を導入する学校が増えていることです。朝日新聞EduAによると、昨年、首都圏では計143校が何らかの形で英語試験を導入していました。国際化の進展に伴って、英語力の高い人材が求められる現代です。背景事情は理解できるものの、果たして良いことなのでしょうか。算国理社と比べて、英語は努力より環境の要因が強い科目です。海外在住経験があったり、英会話教室に頻繁に通えたりした子供が有利となります。英語を含んだ入試の導入を否定はしませんが、主要4教科による入試形式も継続して欲しいものです。

様々な変化があったものの、受験の本質は古今東西変わりません。よく勉強して、落ち着いて試験に臨むのみ。受験生の皆さん、ラストスパート頑張って下さい!

10年前の筆者