Spotifyの発表によると、2021年に国内で最も再生された曲は優里の「ドライフラワー」です。2位はBTSの「Dynamite」、3位はYOASOBIの「夜に駆ける」。世界で最も再生されたアーティストはバッド・パニー。プエルトリコ出身のラッパーです。SpotifyやApple Musicなどの音楽配信サービスでは、利用者個人が再生した曲もランキング形式で表示することが可能です。年の瀬を迎えたここ数日、「自分が2021年に聴いた曲ランキング」をSNSに投稿する人が目立ちます。
日本レコード協会の統計資料を見ると、アルバムCD(直径12センチ)の生産枚数が最も多かったのは2000年。2億7632万枚を製造していました。昨年は7129万枚にとどまります。音楽配信サービスが普及した現在、CDを買って音楽を聴く人がいかに少ないか実感させられます。
CD全盛期の1990年代から2000年代にかけて、MDもブームになっていたようです。ミニディスクを略したMDは、CDよりもコンパクトで、記録時間が長く振動による音飛びがしにくいのが特徴です。かつてはカーオーディオに多く搭載されていたようです。とはいえ、使ったことがある大学生は少ないのではないでしょうか。
本日の朝日新聞夕刊には、12月下旬に発売される「三省堂国語辞典 第8版」からMDの単語が消えてしまうことが紹介されています。この辞典が目指すのは「現代語の正確な地図」とのこと。日常会話に出てこないMDが削除されるのは逆らえない流れのようです。
気になって、CD・MD以前に全盛を誇ったレコードについて調べてみました。国内では1976年の生産枚数が最多で、全ての種類のレコードを合わせて1億9975万枚ほどです。CD全盛期の2000年には191万枚に落ち込み、2009年は約10万枚にまで数を減らしました。しかし、最近は右肩上がりと聞きます。
20年に、全米のレコード売上高がCDを超えたことが話題になりました。国内でもアナログレコードの人気が高まっており、去年は09年と比較して10倍以上のレコードが製造されました。人気再燃の背景には、音楽を聴くためにレコードを再生機に置いて針を落とす「手間」に魅力があるようです。レコード針にも様々な種類があり、こだわる人は少なくありません。
筆者もコロナ感染拡大以前は、図書館の視聴覚室でレコードを聴くのが好きでした。大きなスピーカーを前にすると音のシャワーを浴びるようです。プチプチと針とレコードが擦れる音まで心地よく、堪能していたことを思い出します。
MDに不便さはありません。CDよりも携帯性が高く持ち運びやすいものです。プラスチックのケースの中に小さな光学ディスクが入っており、色とりどりの製品が発売されました。7センチ四方のカラフルなMDは、音楽を聴く前から楽しくなりそうです。それでもレコードのように再びMDが注目される日は来るのでしょうか。数十年後に再燃して出会えることを楽しみにしています。
参考記事:
3日付 朝日新聞夕刊(埼玉4版)9面「消えるMD 平成は遠くなりにけり」
withnews 「MD」国産技術の結晶が消えた理由 青春のマイベスト再生してみた
参考資料:
一般社団法人 日本レコード協会 「音楽ソフト 種類別生産量推移」