弥富市の事件から実名報道を考える

愛知県弥富市の市立中で3年の男子生徒(14)が刺されて死亡する事件が起きました。殺人容疑で送検されたのは同学年の男子生徒(14)で「(被害生徒に)嫌なことをされた」と供述しているようです。

事件から時間が経つにつれ、様々な情報が出てきています。その中でも、今朝の新聞3紙を読み比べて気になった点があります。26日付の朝日新聞朝刊は被害者の名前を実名で報じている一方で、同日の読売新聞朝刊、日本経済新聞朝刊は被害者の名前を匿名で報じており、新聞ごとに対応が異なっていたのです。。

私は実名報道をあまり好ましく思っていません。加害者の名前はともかく、被害者の名前を報じることで、プライバシーが侵害され、さらに被害をうける可能性があるからです。遺族の立場からすれば、「そっとしておいてほしい」と思う人も多いはずです。

しかし、メディア側の考えは異なるようです。一昨年の夏、ある在京新聞社のインターンシップに参加し、実名報道を考える機会がありました。その際、多くの記者が口にしていたのが、「(実名報道をしなければ)個人情報保護を理由に、当局の匿名発表が横行する」「警察に都合が悪い情報を警察は隠すようになる」「被害者の生きた証を伝える」ということです。

メディアの方々の意見は一理あります。ただ、納得はできていません。記者の方々がいうように、匿名発表横行を防ぐために、警察は全ての実名を発表するべきだと思います。その上で、メディアが実名を報道するかどうかは被害者や遺族と信頼関係を構築したうえで、彼らの意思を十分に尊重して、決めたほうが良いのではないかと考えます。

 

参考記事:朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞 愛知・中3刺殺関連記事