国会議員の事務所で働くインターンをしています。先日、その活動の一環として、議員本人に普段の活動や政治家になったきっかけなどをインタビューしました。特に印象的だったのが、夫婦別姓についての話です。彼は選択的夫婦別姓・別氏制度を推進しています。結婚する時、名字をどうするかで悩み、挙式から婚姻届を出すまでに三年かかったという自身の経験や「(自分の)子供が結婚して、もし異なる氏になったとしても家族であることは変わらない」と、氏・姓と家族の絆は別次元であるという持論を話してくれました。
先月、最高裁は夫婦同姓を定めた民法と戸籍法の規定は憲法に違反しないという判断を示しました。現在の日本では、夫婦で姓を別にすることは法律的に認められないということになります。ただ、「この種の制度のあり方は国会で判断されるべきだ」とし、国会での議論を促しました。この問題は誰にとっても無関係ではありません。国会議員だけでなく、自分たち一人一人が考えていくべきです。
筆者は選択的夫婦別姓・別氏には賛成です。将来自分が結婚するときのことを考えます。自分も相手も元の姓のままが良いと思った場合であっても、現行の法律のもとではどちらかが変更する必要があります。ずっと使ってきた「岸本」という姓に愛着があるので、自分は変えたくありません。だからと言って、相手に我慢を強いて変更してもらいたくもありません。別姓という選択肢が増えることはとても魅力的です。
「家族の一体感や絆が失われる」という反対意見もありますが、本当にそうなのか疑問に感じます。筆者の母は結婚する時に、父の姓に変更しているので実の両親とは別の姓ですが仲は良いです。反対派の理屈だと現在、法律婚をしている夫婦のどちらかは皆、親と姓が異なるので、絆が失われてしまっているということになってしまいます。そんなことはないでしょう。家族の絆と姓は関係ないと思います。また家族の形が多様化し、家制度という意識が薄れてきている中で、姓が一体感を生むという考え方は時代遅れのように感じます。
もう一つ、よく主張される「親が別姓だと子供がかわいそう」という意見。これも一方的な推測ではなく、当事者の意見や体験を踏まえて考えるべきではないかと思います。実際に親が別姓の子供にインタビューした記事があったので紹介します。批判している人は思い込みで語っている、としたうえで、「名字が違うだけで、あとは周りの家族と同じように過ごしている」といった声がありました。
“「かわいそう」かどうかは経験しないとわからないこと。そう言っている人はたぶん同姓の人たちの子どもだと思うんですけど、根拠がないので納得できないです。”3月20日付朝日新聞デジタル
必ずしも全員が同じ考えではないと思いますが、このような意見があることも知っておくべきです。親と別の姓であることで質問攻めにされたり、いろいろと手続きが煩雑であったりとむしろ選択的夫婦別姓が認められないからこそ、困っているということもあるといいます。
選択的夫婦別姓は、文字通り”選択”を可能にするものです。同姓にしたい人の自由を侵害するわけでもありません。家族の一体感が失われてしまうと考える人は同姓で結婚すれば良いでしょう。他人の家族観にまで口を出す必要はないのではないでしょうか。あくまで選択肢が増えるこの制度。早期に実現することを望みます。
参考記事:
7月19日付 日経電子版 「夫婦別姓って実現するの?世論は賛成、国会議論待ち」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74002440Z10C21A7EAC000/
7月2日付 朝日新聞EduA 「夫婦別姓、最高裁認めず → 賛成派、反対派それぞれの理由を知ろう」
https://www.asahi.com/edua/article/14383527?iref=pc_ss_date_article
3月20日付 朝日新聞デジタル「夫婦別姓は子がかわいそう」と言う人へ 子どもの声は
https://digital.asahi.com/articles/ASP3M4DJHP31DIFI006.html?iref=pc_ss_date_article
参考資料:
https://withnews.jp/article/f0181017001qq000000000000000W02c10101qq000018115A