「東京オリンピック・パラリンピック」を巡る諸問題【前半】

今日で、東京オリンピックの開催まであと13日です。

大会を1年後に控えていたはずの2019年、皆さんはどのような気持ちを抱いていましたか。当時はまだ大学生ですらなかった筆者を含め、多くの人がどこか現実味を感じられず、またどこかでは「来年の今頃」を思い浮かべてワクワクしていたのではないでしょうか。

しかし、新型コロナウィルスの流行で20年のオリンピックが翌年の21年に延期させたことは今さら言うまでもありません。

オリンピックまで2週間もありません。それでも、状況は今も二転三転、落ち着きません。

筆者は今回と次回30日の記事を通して、7月に入ってからの東京五輪を巡る諸問題の変遷をまとめるだけでなく、五輪開幕の前と後で筆者の気持ちに変化は生じたのかを報告します。実験的な記事への挑戦です。

まず、1日から今日10日までの状況をまとめてみます。

以前から高齢者を中心に進んでいたワクチン接種も自治体に留まらず、職域接種という形で若い世代にまで進んできた印象でした。ですが、ワクチン接種が進むと同時に、接種を拒否する人に対する「ワクチンハラスメント」なるものも巷では話題になっていました。また、ファイザー製ワクチンの減少見込みもワイドショーなどの話題としてよく取り上げられていました。政治においても、五輪を直前に行われた都議会選挙ではコロナや五輪への対応がやはり争点となっていました。

このようななかで、7日付の読売新聞「国立観客1万人 感染リスク『低』」という記事が印象的でした。スーパーコンピューター「富岳」によれば、国立競技場に1万人を収容した場合でも、全員のマスク着用、間隔をあけての着席などの感染対策を講じれば感染リスクはゼロに近いというのです。

変異種の出現などで、感染者が日ごとに増えています。そのなかで、1万人もの人を一つの場所に集めても大丈夫というこの内容に、「本当か?」という印象を感じざるを得ませんでした。

しかし、その翌日になると、どの新聞の一面も4度目の緊急事態宣言発令をめぐる記事で埋まりました。東京五輪は宣言下での開催が確定し、直前にも関わらず、チケットや観客そしてボランティアなど多くの問題が山積のまま、さらに見通しがつかない状況になりました。

そして、昨9日、都内では駒沢オリンピック公園で聖火リレーのセレモニーが行われたものの、4都県での無観客試合が決定。そして、今日は、北海道そして、福島においても同様のことが決められました。

筆者は通学のたびに、駅頭でオリンピックまであと何日かを示すモニュメントを目にしてます。しかし、それも今では人の邪魔にならないような片隅に追いやられてしまいました。国民の気持ちが追い付かないままに、様々な事情から「便宜的」に開催されるのであろう五輪開催に強い違和感を覚えます。

今日の都内で950人という新規感染者数を見ても、2週間後には自国でオリンピックが開催されていることに、まったくといっていいほど実感がわきません。この懐疑的な気持ちも、開会式や日本代表選手がメダルを獲得する瞬間を目の当たりにすれば、その刹那に感動に変わるのでしょうか。

 

参考記事:

7日付 読売新聞(東京14版)2面「国立観客1万人 感染リスク『低』」

8日付 朝日新聞(東京14版)1面「東京 緊急事態宣言へ」

8日付 読売新聞(東京14版)1面「東京4度目の緊急事態へ」

9日付 朝日新聞(東京14版)1面「4都県 五輪無観客」