医療と人々をつなぐ場づくりを新聞から

「医療の記事ってなんでこんなに少ないのだろう」。新聞を読むなかでつい感じる疑問です。

たしかに医療記事は専門性が非常に高いものから、闘病を詳しく語ったものや日常での疑問まで、幅広く取り扱われています。でも少ないと感じるのはなぜでしょうか。

5月20日、21日の各社が取り扱った医療記事を探してみました。

朝日新聞は「患者を生きる」、読売新聞は「医療ルネサンス」のコーナーで、それぞれ特定の病気を取り上げ、闘病生活を詳しく紹介しています。さらに、20日付の読売新聞では「ワクチン コロナ以外も検討」、21日付では「18・19歳の美容医療 慎重に」という記事がくらしのページにありました。

これは新聞記事の分量として十分と考える人もいるでしょう。それでなくてもコロナ関連のニュースは溢れかえっています。しかし、医療記事全体を見るとどうでしょうか。コロナをめぐる記事を除くと、政治や経済、国際、社会などの記事に押されてなかなか目につきません。くらしや生活のページが一面に掲載されるなど、まずあり得ません。

コロナウイルスやワクチンについてはもちろん、生活習慣病や認知症、心臓病など、自分や家族がいつ罹るかも分からない病気について、皆さんは知っていますか。人々が医療に関する正しい知識をもっともっと身に着けて欲しいと思っています。目の前の不確かな情報にあおられることなく、自分の意思である程度は判断できる状態が好ましいと考えます。もちろん、手に余る場合は医療機関に問い合わせることが重要ですが。

20日付の朝日新聞では、朝日新聞アピタルのコラム「医心電信」を担当する酒井健司さんの記事が掲載されていました。

患者と医者のより良い関係を目指して、わかりやすくて役に立つ情報を発信したい

ここでは間違った医療情報の見抜き方や、診療時間内では十分に説明しづらい話題を取り扱っていると言います。

医療の専門家と人々をつなぐ「朝日新聞アピタル」(21日筆者撮影)

新聞各社のみなさまに、一読者である私からのお願いです。医療分野の記事を増やし、医療や公衆衛生の正しい知識を得る機会を増やしてください。できることなら、毎日目にする一面に医療記事の連載をしてもらいたいものです。

筆者自身は、自分のこと、健康のことを正しく知る機会が、今まであまりありませんでした。信頼性が高く、多くの人が日々目にする新聞で医療記事を増やすことは大切だと思います。専門家と人々を繋ぐ場として、今後の新聞に期待です。

新聞を通して、健康への不安に正しく対処できる人が増えた世の中が楽しみです。

 

参考記事:

20日付 読売新聞(福岡12版)14面 医療ルネサンス「心房細動治療 弁も改善」

20日付 読売新聞(福岡12版)14面 「ワクチン コロナ以外も検討」

20日付 朝日新聞(福岡13版)17面 患者を生きる「症状改善 白い服買えた」

20日付 朝日新聞(福岡14版)18面 「役に立つ医療情報 これからも」

21日付 読売新聞(福岡12版)12面 医療ルネサンス「80代でリハビリ 体力回復」

21日付 読売新聞(福岡12版)12面 「18・19歳の美容医療 慎重に」

21日付 朝日新聞(福岡14版)23面 患者を生きる「食事や投薬で半数は改善」

 

参考資料:

医療サイト 朝日新聞アピタル