記者の温度を感じる 休刊日はポッドキャストでニュースを

5月6日は新聞の休刊日。

いつもの朝とは少し違い、なにか物足りなさを感じます。

ポストに新聞を取りに行き、机に広げてまずは1面を。紙面は情報の宝庫。興味のある記事の隣にも目がいき、自然と様々な分野を網羅できる。紙の新聞ならではの魅力だと思います。

習慣となっている新聞を「読む」ことができない休刊日をどう過ごそうか。筆者は5月4日の朝日新聞で紹介されていた「朝日新聞ポッドキャスト」を思い出しました。

ポッドキャストは近年、利用が拡大している音声配信ツールで、2020年時点の日本国内推計ユーザー数は1100万人越えとされています。音楽、ラジオ、歴史、ニュース、英会話など多彩な番組が配信されています。

今回聴いたのは「朝日新聞 ニュースの現場から」シリーズです。

ポッドキャストの画面のスクリーンショット(筆者撮影)

音声でしか伝えられないことがあります。従来のニュースを縛っていた枠を超え、ファクトに迫ります。

番組紹介の一部です。新聞では文字数が限られているため、簡潔にわかりやすく書くことが求められます。一方でポッドキャストでは平均して30分、長いものは1時間ほど、一つのトピックについて記者が語ります。音声のみであるため、文字と写真で伝える紙面よりも情報量が少ないと思われるかもしれません。しかし、話し手の声色、会話の間、スピードなど様々な情報であふれています。『「不愉快だから帰れ」記者の直撃、財務省幹部は色をなした』では羽根和人記者が森友文書書き換えに関する取材の裏側を熱く語っています。

答える方はウッと詰まったり、声がうわずったり。

感情の揺れが記者への親密感を生む。

4日紙面では、朝日新聞ポッドキャストを愛聴するメディアラボ代表の古田大輔さんが、音声メディアならではの魅力を楽しんでいる様子が紹介されていました。紙面では文章と、カッコに入った名前からしか記者を知ることができません。ポッドキャストでは内容に加え、本人の声、醸し出す雰囲気などから記者を感じることができます。読者に近い媒体として期待が膨らみます。

さらに面白いことに、このポッドキャストのリスナーは20代と30代で6割を占めているそうです。最近叫ばれている「新聞の若者離れ」とは全く逆。驚きの発見です。

若い世代がいま何に関心を持っているか、アンテナを立てることにも使えます。

同紙面では朝日新聞ポッドキャストの制作を統括し、MCも務める神田大介さんが述べていました。若者が利用しやすいSNSやインターネットを通じてニュースに興味を持ち、親しんでもらうきっかけとしてポッドキャストは活躍しそうです。

紙面の魅力はもちろんあります。筆者自身も新聞が好きです。しかし、時代の流れにあったニュース報道は今後注目していくべきでしょう。「聞く」ニュースに触れた休刊日。新聞や記者が切り開く新たな可能性に出会えました。

 

参考記事:

4日付 朝日新聞(福岡13版)11面「ニュースの向こう 記者の肉声で」