コロナ禍で… 長崎開港450周年

上空から見ると、鶴が羽を広げている姿に見えることから「鶴の港」と言われる長崎港。1571年にポルトガル船が来航してから、今年で450年が経ちました。一番イメージしやすいのは出島でしょう。当時の町人たちが共同出資して、1636年に築造された出島。そこから1859年オランダ商館が廃止されるまでの216年余にわたり、唯一西欧に開かれた日本の玄関として、時代の新しい風を取り込み、日本全土に伝えました。筆者の故郷には誇りを持っています。

コーヒーやチョコレートなどの嗜好品、レンガやピアノ、ボーリングも長崎に伝わり、そこから日本中に広がっていったとされています。さまざまな「日本初」がある長崎ですが、最初の商業写真館が作られた地でもあります。

1862年、上野彦馬が上野撮影局を開設しました。今でこそ、スマートフォンで簡単に撮影してインスタグラムなどS N Sに投稿でき、気軽に写真を楽しむことができますが、当時はかなり貴重な技術だったようです。撮影料は今の値段で約5万円とかなり高額です。坂本龍馬など様々な偉人を撮影した彦馬。伝わったばかりの技術で長崎の風景も多く残しています。

長崎大学附属図書館が所蔵する「幕末・明治期日本古写真コレクション」で彦馬をはじめ、長崎を訪れた外国人らが撮影した写真を見ることができます。沿岸に所狭しと並ぶ建物や、港に浮かぶたくさんの船が交易都市として栄えた当時の長崎の姿を伝えてくれます。

 

国内クルーズ船「飛鳥Ⅱ」(約5万トン)を運航する郵船クルーズ(横浜市)は26日、神戸港を5月6日に出発し、9日に長崎港に寄港予定だったツアーを中止すると発表した。兵庫県など4都府県への新型コロナウイルス緊急事態宣言発令に伴い、神戸市が26日に同社に自粛を要請した。

長崎県は今月9日から国内クルーズに限定して岸壁使用許可の受付を再開しています。しかし、自粛の広がりで思うに任せません。以前のように国内外問わず様々な客船が入れ替わり立ち替わり寄港できるようになるにはまだまだ遠いようです。

全国的にも、全日空と日本航空が発表した大型連休中の国内線予約率は5割を切っており、緊急事態宣言の影響もあって、昨年に続き、今年のG Wも遠くへ出かけるのは何とも気が引けます。

自分の故郷やその近所、思い出のある旅行先などを写した古写真。探してみると、インターネットや図書館でたくさん出会えると思います。東京で暮らす筆者は感染を拡大させないため、帰省しない代わりに長崎の昔をしのんでいます。こんな時だからこそ、写真を通して、時を超えた旅行をしてみるのはいかがでしょうか。

 

参考記事:

4月27日付 朝日新聞デジタル「長崎港、世界に開き450年 風光明媚な情景・染み込んだ歴史、発信」

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14886516.html

4月30日付 朝日新聞デジタル「混雑、いずこに… 大型連休始まる」

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14889414.html

4月27日付 長崎新聞「国内クルーズ船「飛鳥Ⅱ」 長崎寄港中止 4都道府県の緊急事態発令受け」

https://this.kiji.is/759601969941872640