甲子園 批判は不要 まず声援を

応援し過ぎで喉が枯れた筆者です。昨日は、年下に大切なことを教わった一日でした。炎天下でも優勝を目指す選手や応援団の姿に心打たれ、今もまだその余韻に浸っています。もうお気づきでしょうが、今日は高校野球について決勝戦のアルプスの様子も交えながら、考えていこうと思います。

20日、第97回全国高校野球選手権大会の14日目、決勝戦が行われ、小笠原と吉田のダブルエースを擁する東海大相模(神奈川)が10-6で仙台育英(宮城)を破り、52回大会(1970年)以来45年ぶり2回目の優勝を果たしました。東北勢初の優勝を目指した仙台育英、一時は同点に追いつく猛攻を見せましたが、エース佐藤が9回に4失点を許し、今大会も全国制覇はなりませんでした。しかし、東北勢6校のうち、4校が初戦を突破し、ベスト8のうち秋田商(秋田)を含め2校が東北勢と、躍進を見せた今大会でもありました。2011年と2012年には光星学院(青森 現八戸学院光星)の2年連続決勝進出もあり、東北勢が力をつけてきています。優勝旗が白河の関越えを果たす日もそう遠くはないでしょう。

今回筆者は幸運にも、3塁側東海大相模のアルプススタンドで観戦することが出来ました。あらたにす一の野球好きを自称する筆者ですが、お恥ずかしいことに甲子園球場に足を運んだのは今回が初めてです。劇的な展開もあり、とても感動的な試合でしたが、筆者が最も心動かされたのは、グラウンドではなく、アルプスです。「T・O・K・A・I! 東海相模!」の掛け声で野球部員、ブラスバンド、チアリーダー、在校生、保護者、OBなどが一体となり、栄冠に向けて戦う選手を一生懸命に応援する姿は、とても印象的でした。応援という一つのことにひたむきに取り組み、ヒット1本、アウト1つで一喜一憂、どう見ても応援団は選手の一人、筆者の目にはそのように映りました。また、母校愛という言葉では語り尽くせない団結力を持つアルプスは筆者に熱い心を持った人間らしさ、いい意味での泥臭さを感じさせ、忘れかけていた情熱を思い出させてくれたとも感じています。選手のプレーに魅せられたというコメントはよく耳にしますし、筆者も同じです。ですが、それ以上に人々が本当に魅せられているのはアルプスではないでしょうか。日本中の人々の殆どはテレビの前で応援です。地域によっては町から人通りが消えてしまいます。自分たちが応援に行くことが出来ない分、地域や母校の代表を目の前で応援しているアルプスの仲間、同胞にに人々は共感を覚えていたり、思いを託しているからこそ、日本中があれだけの熱狂を見せるのではないか、応援で疲れ果てた筆者は、そんなことを考えた帰りの新幹線で眠りにつきました。

ここからが本題です。昨今、高校野球は投手の球数が多すぎるなど、様々な問題が噴出していますが、筆者としては、誤解を恐れず述べると、「そんなこと、今はどうだっていいじゃないか」と感じています。もちろん、将来のある高校生を怪我などから守ることは大変重要ですし、筆者も否定しません。ですが、まさに血の滲むような努力を重ねた結果、野球少年の頃から憧れた夢を叶え、頑張っている選手がいることを忘れてはなりません。周囲が彼らのプレーに口を挟むことは彼らの努力を否定していることにほかならないのではないでしょうか。折角の甲子園でそんなことを気にしていたら、選手も興ざめです。大人がすべきことは夢の舞台で思いっきりプレーできるよう環境を整えることで十分でしょうし、問題の解決は、大会の前後でも良いでしょう。そして外野は、口を挟むのではなく、テレビの前でアルプスと心を通わせ、共に戦う選手たちを応援することが選手への礼儀ではないでしょうか。高校野球に問題があると感じていても、試合中はそれを忘れさせ、感動を与えてくれる、アルプスにはそんな力が秘められていると筆者は信じています。

最後になりますが、東海大相模の皆さん、優勝おめでとうございます! 来年も全員で優勝旗を返還しに来てください。高校野球ファンとして今日から、来年の夏の縦縞の躍動が楽しみで仕方がありません。

参考記事:各紙関連面