記述式断念 細かい検証を

4月21日の読売新聞朝刊で、興味深い記事を見つけました。見出しは『共通テスト記述式 導入断念へ』。採点ミスのリスクが伴うことや試験によって会場数や受験料等が大きく異なり公平性の確保が困難になることを理由に、2025年以降の大学入学共通テストで、記述式問題と英語民間試験が導入されない見通しとなったというものです。

そもそも、記述式の導入というものは、英語の民間試験の活用と並ぶ大学入試改革の目玉でした。13年10月の教育再生実行会議は「1点刻みの合否判定を助長している」と、これまでのセンター試験を批判し、結果を段階別に示すことの検討を始めました。

その後、年を追って記述式の導入の機運が高まります。

14年、文部科学省の中央教育審議会はマークシート式だけではなく、記述式の問題を導入するように求めました。そして、16年に文科省の有識者会議の最終報告で「より主体的な思考力・判断力の発揮が期待できる」などとして、記述式の導入を支持。翌年には文科省が国語や英語で記述式を導入する方針を公表し、20年から始まる予定でした。

昨年度の受験生は翻弄され続けてきました。実際に筆者のアルバイト先の予備校では、生徒から「どう対策していけばよいか分からなかった」「記述式の対策に時間がとられた。もったいなかった」など様々な声があがりました。

ただ、今回の問題は記述式を断念して、終わる性質のものではありません。どういう経緯で記述式の議論が進められたのか、細かく検証していく必要があります。今後、翻弄される受験生を出さないために不可欠な作業です。そして、多くの受験生が影響を受けたのは事実なのですから、この機会に、文科省関係者から受験生へ何らかのメッセージが出されることも期待します。

参考記事:

4月21日読売新聞朝刊(東京13版)社会面「共通テスト 記述式 導入断念へ 25年以降 英語民間試験も」