週休3日制

「ユニクロ」などを傘下に抱えるファーストリテイリング。10月から週休3日制を国内の全従業員の5分の1に当たる約1万人の正社員に導入します。人手不足感が強い小売業やサービス業。そこを中心として勤務体系を柔軟に見直し働き方を多様化する動きが広がりつつあります。これは「ワーク・ライフ・バランスの取り組み」とも言われます。

制度づくりまでは進んだものの、社内にその考え方が浸透していない企業があるのも現実です。「長時間働くこと=仕事に熱心」という風潮もあるのでしょう。制度づくりだけで止まってはいけません。経営トップや管理職、人事担当者が従業員を啓発し、働き方・休み方に対する意識を変えるとともに、 ワーク・ライフ・バランスを「経営戦略」に位置付けるなど経営トップとしても本腰を入れて取り組んでほしいものです。

企業には全従業員に共通認識を持たせる努力と工夫が求められます。それではどのように意識を変えていけばいいのでしょうか。まず必要なのは、仕事と生活について一人一人が考えることです。

「家族思いで賞」「ママに優しいで賞」「子育て応援隊長賞」。これらはワーク・ライフ・バランスに取り組む企業に与える賞のタイトル案です。実際に私の大学の授業で学生たちが考えたものです。学生の多くは、仕事と生活の調和といえばすぐに子育てや介護を想像するのだと気がつきます。また授業で出てきた賞では、一定の層にしかあてはまりません。政府や企業も、女性の就労を後押しするために力を入れていますが、世の中には、家庭を持たない人も当然います。ワーク・ライフ・バランスに性や年齢は関係ないはずです。社内に浸透・定着させるために一部の人だけのことではないことに気づき、全従業員が共通認識をもてるようなプログラムが欠かせないでしょう。さらに制度はあっても職場の雰囲気によっては利用しにくいかもしれません。

誰もが様々な働き方や生き方に挑戦できますように…。子育てや親の介護が必要な時期があります。また趣味を何よりも大切にする人もいるでしょう。それぞれが置かれた状況に応じて、多様で柔軟な働き方が選択できるような社会となることを期待します。

参考記事:20日付 日本経済新聞 (東京14版)1面 「ファストリ、週休3日に」