ネット選挙運動 三バンの時代はもう終わり?

214日に投開票された愛媛県西条市議選。この選挙で、ある候補の上位当選が話題となった。森川亜紀さん(38)。夫と共働きで、小学生と保育園児の娘2人を育てる普通のママさん。もちろん政党の支援もなく、資金も潤沢ではなかった。しかし、2396票を獲得し、33人中3位で当選した。

かつて、選挙で当選するには、地盤(組織)、看板(知名度)、鞄(資金力)の「三ばん」が必要とされていた。「三ばん」なければ、選挙に勝てず。これが「選挙の常識」だった。しかし、それらと無縁な森川さんは選挙に勝てた。しかも、上位で。

森川さんの勝因は、ひとえに、ネットでの選挙活動が功を奏したからだといえる。ツイッターやインスタグラム、フェイスブック、ユーチューブを通して、自身の情報を積極的に発信。独自の選挙戦を展開した。街頭演説だけでなく、他候補を圧倒する量の投稿をSNSで発信した。それにより、Googleで「西条市議選」と検索をかけると、上位に森川さんの投稿が表示されるようになった。ウェブ上で目がつきやすくなったことは、大量得票での当選への追い風となった。

「三ばん」なしで上位当選した候補は他にもいる。つくば市議会議員の川久保皆実(35)さん。川久保さんはわずか3ヶ月、市内のゴミ拾いとネット上で活動をしただけで41人中3位で当選した。後援会も選挙カーも持たず、街頭演説すらしない川久保さん。彼女の上位当選は、ネット上での選挙活動の有用性を証明したといえる。

 森川さん、川久保さんの奮闘ぶりは、ネットを駆使すれば「三ばん」が無くても選挙に勝てることを証明した。その戦術は、政治参加を考える一般市民にとって大きな遺産だ。世襲議員の多さが問題視されている今、ネットでの選挙活動は新たな政治のうねりを生み出すかもしれない。

 

参考記事:

 

16日付 読売新聞朝刊(大阪13版)39面「無名の38歳女性 3位当選」

17日付 日本経済新聞朝刊(11版)11面「脱「どぶ板選挙」私に続け」