眼鏡のように手軽な補聴器、買えるのはいつの日か

 

本日の朝日新聞の朝刊「声」欄に同じ話題で二つの投稿がありました。ひとつは52歳女性からで、補聴器に詳しい耳鼻科が増えてほしいというもの。もうひとつは63歳女性が寄せたもので、高齢者にとって使いやすい補聴器が普及してほしいとのことでした。

いずれも、先月27日に掲載された「眼鏡のように手軽な補聴器を」を読んだのがきっかけだそうです。その投稿では、5年前、耳が遠くなった母のことを心配し、補聴器を購入しに行ったところ、高額なうえ手入れが大変なことに驚いたという50代の女性の体験が書かれていました。女性は、使いづらさから買うのを断念したのですが、その結果、大声を出して喋るのがおっくうになり、母親と話す機会が減ったそうです。あの時、買っていればという悔いと、眼鏡のように手頃で使いやすい補聴器があればという要望で締めくくられていました。

三つの投書を読んでみて、補聴器ってそんなに高いのかと驚きました。これまで補聴器に触れる機会がなく知らなかったのですが、調べてみると、ものすごく高価でした。「お求めやすいタイプ」と書かれた商品を見てみても、片耳89000円(非課税)。新商品を覗いてみたら、両耳1060000円(非課税)と書かれてあるものまでありました。いくら聴力が落ちたからといって、おいそれと手が出せません。

日経の1月30日付の記事を読んでみると、「日本補聴器工業会の18年の調査では難聴者率(難聴またはおそらく難聴だと思っている人の割合)は75歳以上で4割程度。補聴器1台の平均価格は15万円だ。原則保険は適用されない。」とありました。障害者総合支援法に基づく高度の難聴以上の人だけが、原則1割負担で購入できるのが現状です。

思い返してみると、筆者は目が悪く、小学校中学年のときにはじめて眼鏡をかけるようになってからというもの、5回ほど買い換えています。度が合っていない眼鏡では生活に支障が出るので、その都度、視力に合わせて調整しています。しかし、今のような補聴器ではそうはいかないでしょう。自分に置き換えてみると、補聴器を買えない人たちは、とても不便な生活を強いられているのだなと思いました。

月並みなことしか言えませんが、いま不自由な思いをしている人のため、そして将来、年を取って耳が遠くなった私のためにも、消費者が補聴器を買いやすい環境が整ってくれることを望みます。

 

参考記事:

3月16日朝日新聞朝刊オピニオン面(東京、13版)「(声)補聴器に詳しい耳鼻科、増えて」「(声)高齢者に使いやすい補聴器を」

2月27日朝日新聞朝刊オピニオン面「「眼鏡のように手軽な補聴器を」」

1月30日日本経済新聞デジタル版「目や歯 高齢期の治療費 保険適用で金額に差

2018年3月14日日本経済新聞デジタル版「補聴器、使用率低迷の日本 普及のカギは?

 

参考資料:

日本補聴器工業会 2018年調査報告