「8時以降も開いている店がある」。京都市の繁華街・木屋町通りで居酒屋のアルバイトをしている友人が私に語った。大半の店は8時までに閉めているが、一部営業している店があるという。
京都府は飲食店等に対し、1月14日から「午後8時まで」の時短を要請している。さらに、今月13日、改正新型コロナウイルス特別措置法が施行され、時短要請に応じない事業者には知事による命令や罰則が適用されることになった。つまり、時短要請に応じないと処罰され得るのだ。それにも関わらず、営業している店がある。にわかには信じられなかったが、百聞は一見にしかず。8時以降も開いている店があるのかを確かめるべく木屋町通りを訪れた。
8時以降の木屋町通り。2月23日、筆者撮影。
2月23日午後8時半、通りは既に閑散としていた。店頭も暗く、ほとんどが閉店している。一方で、友人の証言の通り数店舗だが営業している店があった。なぜ、時短要請に従わないのか、従業員に話を伺った。
「うちみたいな大型の箱(クラブのこと)は1日6万の協力金じゃ無理。開けざるをえない」
そう語るのは、ナイトクラブの男性従業員。彼の職場は、協力金では「やっていけない」ので、時短要請には従わず午後8時から午前4時まで営業している。「決して多くはないが、開けていれば一定数の客は来る」そうだ。現時点で、8時以降の営業に関して、府知事による命令や罰則はないという。しかし、「いつ適用されるかがわからず不安だ」とも語る。
「協力金ではやっていけないし、客も来るから開けている」と話すのは、ある居酒屋のキャッチをしている男性。木屋町通りでは、午後8時以降も営業している店は、数店舗しかなく、飲み足りない客が集まって来るという。「今でも緊急事態宣言が出る前と変わらないくらいの稼ぎはある」と彼は語った。他にも数軒営業中の飲食店を回ったが、閑散とした外の通りとは裏腹に客数は少なくない印象を受けた。
午後8時半から2時間ほど「夜の街」を歩いて、人通りは少ないが、開いている店には人が集まっていることがわかった。8時以降も営業している店には、「協力金が少ない」という言い分がある。そうした事情も分からないではない。安易に罰則を適用するのではなく、彼らの現状を理解した上で対処することが行政には求められている。
参考記事:
24日付朝日新聞夕刊7面(3版)「一日6万円『協力金バブル』」