接触確認アプリ「COCOA(ココア)」をスマートフォンに入れている人は、少ないのだろう。昨年末、コロナに感染し、保健所の職員から聞き取り調査をされているときに思いました。アプリを入れていなかったので、後ろめたさを覚えながら伝えると、「そうですか~。気にしないでください」と軽く返されたからです。体調が悪く記憶はあいまいですが。
そんなCOCOAについて、今月3日、厚生労働省は不具合を4カ月も放置していたと発表しました。感染者との接触があっても通知されない状態が、アンドロイド端末では昨年9月から続いていたそうです。
そもそもなぜ開発したのだろうか。政府はそんなに重要視していないのか。東京五輪を見据えて訪日客にも利用してもらうことを想定しているのではないか。疑問がふつふつと湧いてきました。
昨年6月にリリースされ、2月5日現在で約2,491万件もダウンロードされています。私もコロナに感染してから入れました。開発の目的は、コロナの感染拡大防止です。スマートフォンのBluetooth(近接通信機能)を利用して、プライバシーを確保しつつ、陽性者と判明した人と1メートル以内で15分以上接触していた場合には、通知がくるシステムになっています。
不具合は、委託業者が9月にアプリを改修した際に生じたそうです。改修に伴って障害が生じた話は聞きますが、それよりも問題だったのは、発注した厚労省が業者任せで動作確認を実際の端末ですることを怠っていたことです。
不具合を放置していた4か月間は、感染が増加していた時期と重なります。あってはならないことです。アプリをインストールするのは、任意ですが、良かれと思って行動した人がばかを見るようなことがあるのは許されません。しっかりと機能していたならば、通知を受けた人がPCR検査や外出自粛という行動を選択し、拡大防止につながったはずです。
COCOAについての報道は少ないなと感じていましたが、ちょうど今朝の読売新聞の社説で取り上げられました。私自身は、このアプリは必要だと感じています。多くの人に普及すれば、一人ひとりの行動を変えるきっかけになるかもしれないからです。お粗末な厚労省の対応に、不信を抱いた人は少なくないでしょう。信頼回復のためにも、誠実な対応を求めます。
参考記事:
7日付読売新聞朝刊13版 総合3面 社説「政府は不具合放置を猛省せよ」