【激震】ミャンマー政変 現地学生にインタビュー (後編)

前編に引き続き、ミャンマーのクーデターに関する特集です。抗議活動のかたや、社会や経済にどのような影響が生じているのか。一般市民の暮らしに変化はあったのか。ミャンマー在住の大学生に対するインタビューを掲載します。

【前編はこちら】

画像:読売新聞オンラインより

 

――経済や金融への影響は。
2月1日以来、為替レートは下がり、金の価格が上がっている。米や油は値上がりしたが、大半の食料の値段は変わっていない。クーデター当日こそ、人々は食品や日用品の買い占めに走ったが、翌日以降、パニックはおさまった。現金をおろす人がATMや銀行の前に行列を作ったのも一日だけ。物流は、政府や公的機関と関係ないので、平常通り動いている。滞りはない。外国からの投資案件は、大半が延期ないし取り消しになった。今後、約300万人が失業するのではないか、と見込まれている。

――交通機関の運行状況は。
クーデターが発生する以前の昨年9月から、鉄道網や遠距離バスを含むほぼ全ての公共交通機関がストップしている。コロナ感染症の第二波が襲来したためだ。現在、一般乗用車での移動はある程度許されているものの、幹線道路に検問所が設けられている他、銃をかまえた兵士を載せた戦車が市内を徘徊し、目を光らせている。

――大手メディアは圧力をかけられたり、検閲を受けたりしていますか。
テレビは、軍と政府のチャンネルがそれぞれ一つと、民営会社のチャンネルが二、三ある。軍は政府のチャンネルを掌握したうえ、民営会社にも圧力をかけ、NLDを支持する内容の放送は許されない。BBCニュースとVOA(Voice of America)ニュースのミャンマー支局などは言論統制を受けず、公平な報道を伝え続けている。

――ロヒンギャを始めとする地方の少数民族は、クーデターにどう反応しましたか。
大半の少数民族は、NLD政権も軍政も好んでいない。過去の軍事政権下において、少数民族はNLDを支持するビルマ族よりも虐げられてきたので、恐怖を覚えているのではないだろうか。決してクーデターを喜ぶなどしていない。

――国民の声は軍人政治家に届きそうですか。
届くか分からないが、この抗議活動を通じて政治が変わることを強く望んでいる。スーチーらNLD幹部が解放されるよう、私たちはベストを尽くす。また、国際社会が現状を知ってくれれば、私たちを見捨てず助けてくれるものと、国民は信じている。早速、中国、ロシアをも含む国連安保理がスーチーら指導者を即時解放するよう求める共同声明を発表してくれた。非常に心強いニュースだ。

――民政に復帰するまで、どの程度の年月がかかると思いますか。
独裁者ネーウィンによる第一次軍事政権は26年間続いた。88年の民主化運動が挫折した後の第二次軍事政権は22年継続した。軍事政権下で、ミャンマーは東南アジア有数の富国から最貧国に転落したので、暗黒の時代に後戻りして欲しくないが、何ヶ月、何年かかるかは見当がつかない。

――最後に、日本人や国際社会にメッセージをどうぞ。
人権、民主主義と明るい未来を求めて戦うミャンマー国民を力強くサポートして欲しい。この凶行は民主主義に対する裏切りであり、人権の侵害だ。私たちは、日本のような平和で安定して発展した国になりたい。どうか私たちの抗議活動を支持して下さい。宜しくお願いします。