「隠れ待機児童」見かけのマジック頼りは見苦しい

待機児童。小さい子どもを持つ家庭ではないと、なかなか関心が持てない問題かもしれません。そんな問題だからなのか、待機児童数で見かけのマジックが行われ、いわば私たちが騙されていることをご存知でしょうか。

認可保育所などに入れない待機児童について朝日新聞が20政令指定都市と東京23区に聞いたところ、計約7千人いることがわかりました。前年より16%減です。保育所の定員増が一因とみられており、待機児童は着実に数を減らしている…のは見かけの話。入園できないのに、待機児童に数えられない「隠れ待機児童」を集計すると、計約3万人いることがわかりました。なぜ見かけと実態はここまで異なるのか。それは、厚生労働省が決めた待機児童の定義と「子ども・子育て新制度」にトリックが隠れているようです。

そもそも、今年4月に始まった「子ども・子育て新制度」は、認可保育施設の種類と範囲を増やすことに特徴があります。子どもを預ける機会が増えたことは、待機児童の減少にストレートに作用するので、状況は改善されそうです。しかし、それに加えて待機児童の定義が変更されました。ここに問題があります。自治体の判断により、親が育児休業を延長した子どもも「待機児童に含めないことができる」としたのです。自ら望んで育児休業を延長した家庭については納得できますが、「預けられる保育園が見つからず泣く泣く育児休業を延長した」という家庭はどうでしょうか。実質的な待機児童であるのに、待機児童とは数えられないのです。この実態が、今回の調査で「隠れ待機児童3万人」という結果を生んだと考えられるでしょう。

安倍政権は2017年度中の「待機児童ゼロ」を目指しています。同じく目指している女性の活躍できる社会には、子どもを安心して預けることのできる社会は必要不可欠でしょう。共働き世帯が増えている中で子どもを預けられる環境が整っていなければ、将来世代の減少が加速されていくのは明らかです。おそらく安倍政権は、「待機児童ゼロ」という数値目標を立ててしまったがゆえに、結果を出さなければならないという焦りから、このようなトリックともとれる定義変えを行っているのでしょう。数値目標を立てることには責任がともないます。誠実に現状と向き合って、国民に説明したのちに、事態の「本当の」解決に向けて着実に政策を実施したほうが良い結果がでることは明白です。数遊びに頼ることなく誠実な政治を実行することを現政権に強く求めます。

参考記事:8月3日付朝日新聞朝刊(東京13版)2面「待機児童 減ったと言われても」

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