新大久保駅事故が教える、目配り・気配りの大切さ

 

新大久保駅事故から20年が経とうとしています。酒に酔って駅のホームから転落した男性と救助のために線路に降り立った韓国人留学生・李秀賢(イスヒョン)さん、日本人カメラマンの3人が亡くなった事故です。筆者は、当時3歳で事故のことを覚えていません。しかし、日経電子版にあった記事では、当時のことを「自らを顧みず人を助けようとした行動が多くの人の心を打ち、李さんの葬儀には日本の政府関係者をはじめ一般市民ら大勢が訪れた」(日本経済新聞)と振り返っています。

毎年この時期になると、「日韓の懸け橋」となった李さんを偲ぶ記事が出ますが、筆者が今回気になったのは、ホームドアの普及率についてです。20年前、李さんたち3人が亡くなったのは、ホームドアがなかったから。今、日本にはどれだけ設置されているのか調べてみました。

FNNの記事によると、まず死亡事故も含めた「転落事故」は、2019年度だけで2888件も起きているようです。一方、ホームドアの設置駅数は858駅(2019年度末)。全国には9465駅(令和2年3月末時点)あるので、まだまだ道半ばということになります。

ホームドアが増えない理由としては、⓵費用と②工期にあるとも書かれていました。一つの駅にホームドアを設置するとなると数億円かかり、どの駅でもというのは難しいのが現状です。しかも、工事できる時間が終電後から始発までと短く、工期が長くなってしまうのも要因だといいます。

確かに、この2点が解消されない限り、ホームドアを設置することは難しいと感じました。しかし、ひとの命がかかわっている以上、早急に対策を講じなくてはなりません。大きなことは出来ませんが、筆者はまず、李さんのように目配りと気配りを忘れず、周りに転落しそうな人がいたらいち早く助けられるようになりたいと思います。彼が示してくれた優しさを受け継いでいきたいです。

 

参考記事:

1月23日日本経済新聞デジタル「新大久保駅事故から20年 「日韓の懸け橋に」つなぐ遺志

参考資料:

2020年12月14日「後絶たないホーム転落事故と進まぬホームドア設置…悲劇を防ぐ小田急の最新技術とは?