3.11から間もなく10年 これからやるべきこととは

 

先日、家の近所にあるインドカレー屋さんに行った時のことです。じゃがいもとナスの『アルベーガンカレー』を頼み、料理が来るのを待ちながら、備え付けのテレビをぼーっと見ていました。筆者はその店に二週間に一度のペースで、足繫く通っているのですが、チャンネルはいつもNHK。時には「のど自慢」、また時には「バラエティー生活笑百科」が流れています。

この日は定番ではなく、3.11の特集でした。「明日へ つなげよう『10年特集』」というタイトルで、俳優の渡辺謙さんや女優の富田望生さんらが、被災地の今を伝えたり、当時のことを振り返ったりしていました。

10年という月日の長さに驚きました。当時小学生だった私が大学生になり、今の小学生の中には東日本大震災を経験していない子もいる。あの日、東北から遠く離れた九州で、テレビ越しに被災地のことを心配していたことを思い出しました。日本全国の人が同じようにしていたのではないでしょうか。東北にいなくても、2011年3月11日、自分が何をしていたのか覚えているはずです。一方で、3.11を知らない世代も増えてきました。改めて考えてみると衝撃的です。

番組ではもうひとつ、次の世代にどうやって東日本大震災を継承するかについても触れていました。筆者はテレビを見ながら防災教育を思い浮かべました。文部科学省の「学校における防災教育の取組と課題」は、学校の防災教育について触れています。その中で印象的だったのは、「学校安全計画」、「危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)」の策定状況が地域、学校、教職員間などで差があるということです。特に私立の学校は、作成の取り組み状況が低くなっています。

八王子にある市立の学校の危機管理マニュアルを見てみましょう。第一章では、防災教育の目的や具体的にどういったことをするのか書かれています。これをみると小学校・中学校でどんな教育をすればいいかが分かるようになっています。マニュアルの作成状況は、その地域・学校が災害とどれだけしっかり向き合っているのかを示すと思います。作成をまだ終えていない学校は、作業を急いでほしいものです。

筆者は長崎県対馬市で育ったため、小学生の頃、原爆について学ぶ機会が多くありました。1年生から6年生まで各学年2人ずつで構成された縦割り班を作り、一年間千羽鶴を作る。完成した千羽鶴は、6年生が修学旅行の際、平和公園に持っていきます。また、毎年8月9日には平和集会もありました。はだしのゲンをみたり、各クラスで平和に関する標語を作ったり。こちらは平和教育ですが、平和とは何か、考えるための土台がしっかりと築かれました。しかし、全国的に見たら、ここまで充実している地域は多くありません。中学・高校を過ごした佐賀県にある私立学校では、「火垂るの墓」を一回観る程度だったと記憶しています。

10代のうちに学んだことは、その人の人生にとても大きな影響を与えます。3.11を経験していなくても、地震や津波の恐ろしさを知ってもらうためにも、教育現場を変えていかなくてはなりません。

 

参考記事:

1月7日日本経済新聞デジタル「東日本大震災から10年 「余震」なぜ続く?

 

参考資料:

NHKホームページ「明日へ つなげよう『10年特集』

八王子市ホームページ 学校危機管理マニュアル